アストルティアを旅する人にだけ、解ける謎がある──。
日誌1ページ分でお届けする謎解きです。物語を読み、文中に出てくる謎の答えを導き出して下さい。
この謎に制限時間は存在しません。あなたが謎を解くか、諦めて回答編を見る(4/12に掲載予定です)まで、ごゆっくりお楽しみ下さいませ。
そうそう、最初にひとつだけヒントを。
『アストルティアを全く知らない人には、この謎は解けません』
※今回の謎は当方主催イベント「汝はマネマネなりや?」待ち時間中に配布された問題へ、加筆・修正を加えたものです。
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ここアストルティアには、人知れず活動する組織があちこちに存在している。
国家の存続に関わる立場にあるもの、遥か過去から連綿とその名を歴史に残しているものと、本質の善悪を問わず規模・形態は様々ではあるが、おおよそ全ての組織に共通しているのは、市井の人々にその活動を知られる事がない点である。
所は地図に載る事のない廃墟──数ある秘密組織の中の一つが秘密裡に本拠地としている、古びた建物の一室。
数本のキャンドルに灯った火が作り出す仄かな光の輪の中で、とある組織の長たる男は長々とため息をついていた。上等そうな黒いスーツに身を包んでこそいるが、見ようによってはまだ幼さの残る顔立ちをした青年だ。仮に町ですれ違ったとしても、彼が剣呑な肩書きを持つ身である事に気付く者は、ごく僅かだろう。
彼は、己を落胆させる原因となった一通の手紙を、散らかった机の上へと投げ捨てた。
「やれやれ……長い間連絡をよこさなかったと思ったら、これか」
緩やかに首を振り、すぐ側の椅子へと腰を下ろす。気に入りの椅子は彼の体を柔らかに受け止めてくれたが、それで今の気分が変わるというわけでもなかった。好みの調度品を揃えたこの部屋の雰囲気も、今は気持ちを盛り立ててくれそうにない。
このまま目を閉じ、椅子に沈み込んでいたい気分になりつつあったが、青年はそうする代わりに机の上へと手を伸ばし、放り捨てたばかりの手紙を雑に掴んだ。
手紙は目下諜報活動中である、彼の部下の一人が送ってきた物だった。どの町の郵便屋でも買う事のできる竜の模様の便せんに、お世辞にも美しいとは言えない走り書きの文字が躍っている。
『ブタまん5 アメ3 サラダ1 サブレ5
ケーキ1 もち7 せんべえ6 からあげ4
バーガー4 銘菓3 ココナッツ3 丼4』
「随分と腹の減る手紙を届けてくれたものだ」
顔をしかめながら、彼は手紙をキャンドルの上へとかざした。書かれた文字がじりじりと炎に舐めとられていく様を眺めながら、口の片端を曲げて笑う。
その表情は、彼が決して日の下に現れない類の人間である事を証明するかのような、酷薄なものだった。
「さあ、仕置きの用意をしておかなくてはな」
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Q:この手紙には『本当の伝言』が隠されています。その内容とは、一体何でしょうか?
答えが分かった人は、コメントに「分かった!」旨を記入下さい(答えは直接記入しないで下さいね)。