「鋼の錬金術師」をご存じでしょうか?
有名どころなので、大好きって方も多いでしょう。
戦い系のアニメで何十話もある作品って他にもたくさんありますが、たいてい終盤になってくると作者もモチベーションが落ちてしまうためか雑なまとめ方となり、読者側も最初ほどのワクワク感を感じられなくなってしまいがち。
しかし本作は最後の最後までワクワクドキドキさせられる稀有な作品でした。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
ってネットでは昔からよく見かける言い回しでしたが、そのセリフが唐突に出てきた時は驚きました。この漫画が元ネタだったとは。
錬金術はDQ10でもお馴染みですがツボやランプではなく、釜で作る方のそれに近いです。
要するに物質を原子レベルまで分解し再構成して別の物に作り変える事。
元になる物よりも増やすとか、有りもしない物を作り上げる事はできません。
等価交換が大原則。
じゃあ「人間」すらも作れるんじゃないだろうか?
炭素、リン、カルシウム、鉄、硫黄などなど人体を構成している物と同じ原料を集めてくれば、亡くなった人を復活させる事すらできるんじゃないか?
DQ10では実際にそうやって「魔法生物」を生み出す凄腕の錬金術師も居ますが、ハガレンの主人公兄弟もそれに挑戦します。
しかしそれは禁忌であり、失敗して自分たちの身体が欠損するなど大変な代償を背負う事になります。
それを元に戻す手段を探す冒険の物語。
本作の特徴は、圧倒的で絶望的な強さの敵が現れるも、分かり合えたり、利害の一致、あるいは更なる共通の強敵に対して共闘するなどの形で、次々と「仲間」になるところ。
スカーにしろ、キメラたちにしろ、グリードにしてもね。
この辺りは天津飯、ピッコロ、ベジータなどがそうなる「ドラゴンボール」と似ているなと感じました。
そういう展開ってみんな大好きで胸が熱くなりますよね。
さて本作には大国アメストリスと小国イシュヴァールとの戦争があります。
元々民族の違いは有りましたがそれなりに仲良くしていたのに、たった一発の銃弾から殲滅大戦争に発展してしまいました。
という「流れ」は、悪意ある誰かによってそうなるべく仕向けられていた「計画」でした。
現実の戦争だって第一次世界大戦など後から見ればそういうカラクリだったというケースばかりですよね。
民衆なんていとも簡単に煽動される。
今現在もロクでもない侵略戦争が繰り広げられていますが、何が本当の事で何がフェイクなのかを、自分で見抜いて自分で判断する慧眼を持ち合わせておくことが大切ですね。
ところで仮に、人体錬成が成功したとして、それは「元の人」を復活させた事になるでしょうか?
否。見た目は同じにできても、記憶までは継承されない。性格なども違うかもしれない。
ゆえにそれは復活させたいと思って作った人のエゴでしかなく、作られた本人にとっては前の人の代わりをさせられるという甚だ迷惑な話である。
というシナリオがほとんどですよね。
しかし記憶や性格なんて物も、脳内のニューロンの構成によって出来上がっている物ですから、それをも丸ごと全く同じに再構成すれば全てを継承した状態で作り上げる事ができる。理論上はね。
当然、脳の老化具合もそのまんまで再現される事になる。
逆に身体の方だけ全然違う新しい物にすれば、それこそ「ワシはぴちぴちギャルになるのじゃ!」の様に「転生」できるね。
その時オリジナルも健在だった場合、どっちが「自分」なんでしょう?