れいなリボンの冒険日誌

ここ10年ぐらいで一番ストーリー的に感動したゲームが
「うたわれるもの」でした。
三部作で構成されていますが、中でも三作目の「二人の白皇（ハクオロ）」が最高でした。

アニメ化もされています。
ただし１作目のアニメ版は駄作です。
ペルソナ５のアニメと同様の単なるダイジェストみたいな手抜き作品になっていて、ゲーム原作をプレイしていなければ何も面白くないと思います。

対して２作目の「偽りの仮面」のアニメ版は非常に上手く構成・アレンジされていて、原作をプレイしていない人でも楽しめる内容になっていました。
そしてクライマックスとなる３作目のアニメ版ですが・・・
主人公のハクの声優である藤原啓治さんが亡くなられたため、制作が頓挫したままになっていました。

もう作られる事は無いのだろうなと諦めていたのですが、なんと今年の夏になって７年ぶりに放送が始まったのです！
え？誰が代わりを務めているんだろう？
とキャストを見たら、オシュトル役の利根健太朗さんでした。
元々シナリオではオシュトルが戦死し、ハクが彼の偽者としてその遺志を引き継ぐという物語です。
原作では藤原さんが利根さんっぽい声を真似て演じていました。
今度は利根さん（オシュトル）が藤原さん（ハク）を演じるというわけです。
なるほど、言われてみればそれしか無いですよね。
登場人物の役割を今度は「中の人」が正反対で演じるって、何とも感慨深い物がこみ上げてきます。

ゲーム原作でレコーディングした大量の藤原啓治さんのセリフが有るので、
それらを使って映像の方をその声に合わせるって手段も有るんじゃないかと思ったのですが、さすがに主人公でそれは興醒めだろうから全て新たにレコーディングし直したのですね。
ちなみにペルソナ５（ゲーム本編）では真のイゴールの声（田の中勇さん2010年逝去）を過去作のセリフから持ってきて使われていました。

実際に観てみましたが見事な演技力でした。
彼だけでなくキャスト全員が本当に熱を込めて演じていらっしゃるのが伝わってきます。
そのため毎話毎話観ているこちらが嗚咽してしまうほど涙が溢れてきました。
元々「二人の白皇」はストーリーのボリュームがものすごくあります。
あれを一期分のアニメに纏めるのは無理じゃないかと言われていましたが、要所要所を見事に繋ぎ合わせて作られています。
ナコクのイタク皇子の話あたりはカットされるだろなぁなんて言われていましたが、しっかりと一話分にまとめられていました。

アニメ版ならではのニクいアレンジも加えられていました。
オシュトルの正体をハクだと見破ったクオンが「じゃあまた後でね。」と言った去り際に口パクだけで「ハク」と付け加えるシーンなんて、もう・・・

今現在、第14話まで放送されていますが全部で28話になる構成の様です。
まあそれぐらいはかかるよね。
他のアニメだと毎話冒頭に前回のあらすじとかラストに次回予告とか挟まれますが、この作品には一切有りません。エンディング曲が流れる時間さえもまだ本編が続いている回も多々あります。
すなわち尺ギリギリいっぱいまで使って編集されている様で、容量の限界に挑戦したDQ3を彷彿とさせる様な作品なのです。

どんな作品なのか知らなくて、何か感動できるシナリオのゲーム・アニメが無いかなぁ？と探してらっしゃる方は是非一度プレイしてみて下さい。
私は数年前に３作セットになったトリロジーセットという物を購入しましたが、本当に買って良かったと心から感じた名作でしたので。