脆弱な自身との決別。
身から出た錆と言う名の、清算すべき過去。
弱虫で泣き虫だった自分とオサラババイバイ。
前を向き明日を目指す僕に、もう後悔はない。
そう。
少年は男になり、そして神話となる。
英雄の成長物語こそが冒険であり、その足跡が伝説となる。
そして、今その記憶が紐解かれる。
括目せよ。
あすとるてぃあ桃尻くらぶに入店。
ある意味これで全てやりきったと言わんばかりに、本気で衰弱しているダッソンの図。
それだけ緊張していたのだよ。
俯き加減なのは、衣装に関してみりりん嬢が一切触れてくれなかったからではないと、ここに注釈しておく。
それにしてもみりりん嬢。
とてもキュートですね。
表現が稚拙なのは、思ったことをあまりに素直に感想にしてみたからであって、決して他に言葉が思いつかなかったとかダッソンさんの実年齢が思いのほか行ってるとか、そういうんじゃねーから!
こんな可愛い方が隣にいると、思わず口元が綻びます。
モニターの前でにやにやしているキモいオッサンが目に浮かびます。
で、一体全体何をどうしてこうなった。
いや待って。
ホント待って。
1回落ち着こう。
だっておかしいもの。
俺、キャバクラに来たのであって、別に100G出してコロシアムバーガー食べに来たわけじゃないものベストスマイルは0Gですじゃねーようるせーよそんなんスパスタでやってろ、って話になっちゃう。
うん、なんなのこのアフロ?
てか、なんでそんな眼光鋭いの?
スナイパーなの?
何を狙っているの?
俺なの?
というか、この広いアストルティアの中で偶然と言う名の数奇な運命が二人を巡り合せたのは、神話の時代から続く伝承としてこのアストルティアの大地に語り継がれている、そんな神々の悪戯なのか。
ありえない、こんな確率。
こんなんならスライムハウス、楽に当てちゃうよ俺。
引いてみましょう。
一見、特等席なのはみりりん嬢の隣に座っている魚。
のハズなのだが、どうしてだろう。
損した気分しかしない。
手袋まで被っているお似合いの二人。
しかして決して交わることない、そんな微妙な距離感の二人。
お互いに、負けられない何か、たぶん他人からしてみれば些細なことではあるのかもしれない、そんな何かに全身全霊をかけて生きている二人。
これだから冒険者ってヤツはやめられない。
いつ何時どんな強敵に巡り合うのか、それはまさに神のみぞ知る。
ただ、その出会いに感謝し、そして明日への糧とする。
これが冒険ってことなんだな…!
(注:ここはキャバクラです)
正直、もう赤いアフロが気になりすぎて、みりりん嬢との距離すら忘れてしまうほど。
この程度でテンパっている私を尻目に、我関せずとばかりに惰眠をむさぼっている端のイケメン魚さんには敬意を払いたい。
混沌という言葉以外に形容しがたいこの場で、果たして私に何が出来るのか。
どうやらこいつぁ、長い夜になりそうだぜ…!
と、思うもつかの間。
割とすぐに馴染んだ。
つづく