※このお話は大体フィクションです。
困ったことにお金がなくなった。
そりゃ毎日ラッカランに行って散財を繰り返していれば、自ずと予想は出来たことではあるものの、実際無くなってみると非常に困るということがよく分かった。
これが分かっただけでも儲けものであるが、日々の討伐をこなす程度では儲けどころかマイナスでしかない。
早急に手を打つ必要が出てきた。
━━━━ここでアンダーソン、閃くッ…!!
そういえば前回ダーマに行った時、働かなくてもお金が貰えるシステムについて説明されていたような…。
そう思うが早いか、その時配られた資料をやおら取り出し隅から隅まで確認してみたところ、どうやらその権利を得る為にもう一度ダーマに行かなければならないらしい。
しかも指定された日時に行く必要があるようだ。
めんどくせぇ、そう思うも既に背に腹は代えられない。
手元の資料を見ると、どうやら期日は一週間後に迫っていた。
行くしかあるまい…!
そう、金の為に!!
金の為だったらなんだってやる男、それが俺!!
当日、決められた場所には、俺と同じような境遇の人間が何人も集まっていた。
相変わらずどいつもこいつも覇気が感じられねぇ。
まさに烏合の衆。
目に見えて空気が悪く1分1秒でもここにはいたくなかったが、金の為であれば仕方が無い。
瘴気溢れるこの部屋にいても気を保てるのは、エテーネの民の成せる業。
勇者の盟友であるこの俺だからこその特権。
かかってこいや、ダーマ神官!!
程なくしてダーマ神官から説明があった。
どうやら直ぐにお金が貰えるわけではないようだ。
二ヵ月後ようやく貰えるようになるらしく、その間最低3回は別のクエストをこなす必要もある、とのこと…。
なんて面倒くさい話なんだ…。
藤澤おつかいクエストも真っ青な面倒くささだな、これ。
とは言え、2ヶ月間でたった3回のクエストをこなせばいいだけ、そう捉える事も出来る。
しかも1回目のクエストは、今日ここに来たことによって達成されているようで、実質あと2回でいいらしい。
ヌルゲーすぎる。
確かに即金でないのは痛いが、特に苦労することもなくお金が貰えるのであればそれにこしたことはない。
勝った。
ここに俺の人生設計は完璧な形として爆誕した。
となれば善は急げ。
早いとこ今日のチームクエストを終わらせて、とっととラッカランに行こう!
1ヵ月半後。
いまだ残り2回のクエストを残したままのアンダーソンの姿がそこにはあった。
途中、目標であったチームレベル35を達成した際に何かを思い出して行動しようとした節はあったのだが、いかんせんそれまでに浸かっていたぬるま湯が心地よすぎた。
ダーマに行くことなく、今日を迎えた。
アンダーソンの就職は、未だ見えない。