あなたには大切な場所、思い出の場所はあるだろうか。綺麗な場所だから、人と出会える場所だから、好きなモンスターがいる場所だから、フレンドと良く来た場所だから、など人それぞれあるかもしれない。
今回私は『なかまをさがす』でウェディと出会った。
魚さん『デートしましょ』
マリ『デート??』
『何しましょうか』と言った返答が中々珍しい提案だった。いや、男性ならナンパ目的であるのかもしれないけど、相手はウェディの女性ですごく落ち着いてる様子で話した。デートとは、男女が日時を決めて会うこと。と改めてネットで調べると出てくる。だが、性別も関係なく、デートと思えばそれはもうデート、という考え方もある。じゃあこれもデートだ、うん。
マリ『デート!行こう!』
という、チョッパーを仲間に入れた時のルフィみたいなテンションで言ってしまい、変な空気が流れる。決してテンションが上がってたわけじゃない。色々と割り切って言っただけだから。
魚さん『行きましょ』
冷静な魚さんは私を案内する。さっきの発言の温度差に私は少しだけ恥ずかしさを覚えながらもついていく。
ーーーーーカシャル海底神殿・天水の聖塔前ーーーー
いざないの間を通って天水の聖塔前に到着。こんなところに何かあったっけ、と思っていると
魚さん『後ろを、向いて』
後ろを見るとカシャル海底神殿が聳え立っている。
魚さん『私ここ好きなの、綺麗だから』
確かに綺麗だ。カシャル海底神殿、色鮮やかな珊瑚、泳いでる小魚。ストーリーを突っ走って進めた私には気づかなかったことだ。魚さんの隣に座り、景色を眺める。
マリ『いつも、ここに?』
魚さん『ええ、いつも ここに』
彼女は、私をここに連れてきたみたいに色んな人をここに連れてきてるのだろうと思った。しばらく会話もなく、カシャル海底神殿の周りに生えてる植物があんなに綺麗に光るのかと思っていると
魚さん『前までは、大切な人と来てたんだけどね』
マリ『大切な人?』
魚さんは話始める。ゆっくりと、ゆっくりと。
魚さん『ええ、大切な人。私と同じ、ウェディの。よくここでデートしに来てた。今はもういないけれど、ここは思い出の場所なの』
マリ『そっか。そうなんだな』
私もゆっくりと、考えて、魚さんに聞く。
マリ『悲しく、ない?』
魚さん『いいえ、悲しくなんてない。ここに来たら、彼と見たものをまた、見れるんだもの』
それ以上は何も聞かなかったし、私が踏み込むお話でもないのだろう。余計な心配をしてしまったかもしれない。そしてこれ以上私はお邪魔虫になるわけにはいかない。
マリ『もう、行くよ』
魚さん『ええ、私はもう少し見ていくわ』
彼女の隣にはまだ彼がいて、過去じゃなく今のカシャル海底神殿を見ているのだろう。私が最後に見た彼女の背中は確かに寂しそうには見えなかった。
数年たった今でも思い出の場所で、彼女は彼とデートしているのかもしれない。