皆さんには大切な人はいますか?友人や恋人、家族にペットでも大切だと思える存在がいることは素晴らしいことだと思う。今回はそんな大切な人を大切に出来なかった人のお話。
注:前編・後編となってます
ーーー自宅ーーー
ユキ『アカン、またフラれた。どうすればいいの先生』
まり『うん、ここは病院じゃないし、私はユキの心理カウンセラーじゃないんだぞ。』
彼はユキ(仮名)。最近知り合ったフレで相方を作ってはフラれての繰り返しでいつも私になぜか相談してくる。なぜフラれるのか、それは彼にちょっと原因があるようで
まり『それで、今回は何したんだ?』
ユキ『なんか...かっこいい技はなにか聞いたらギガブレイクって言い出して、俺が『いやいや、厄災の滅撃の方がかっこいいだろ、てかギガブレイクかっこいいか?』って言ったら、フレンド切られてた…』
そんな片手剣を使ってる冒険者にも喧嘩を売りそうな彼の発言。彼は結構ノンデリなとこがある。
ユキ『リアルの美容学校も、ゲームでの恋愛も、なんもうまくいかない!今日だって課題出されて俺が一番うまくいかなくてさぁ!』
彼とのお話で私がすることは『聞くこと』だ。ただ聞くだけ。なんもアドバイスもしない。なぜなら彼は
ユキ『でも...これも一つの教訓か...ギガブレイクはかっこいいというもの。今度かっこいい技聞いても小馬鹿にしないようにしよう。少しずつだ。ナルトだって火影になるために努力してなったもんな』
とまるで懺悔のように話すだけ私に話して、最後は何かしら区切りをつけて自分を納得させる。いつもジャンプの主人公に例えて。
ユキ『それじゃ、俺また行くよ』
嵐のように現れて嵐のように去るのが、彼なのである。
______後日______
ユキ『マリえもーん!』
まり『人を猫型ロボットみたいに呼ばないで??』
ユキ『やっぱりダメだぁ俺はぁ...』
もう何度この光景を見たのかわからないので私はこの状況に慣れてしまっていた。
ユキ『決めた。もう俺はこのゲームをやめる』
まり『おいおいどうしたんだ。今までみたいに早く元気取り戻してくれよ』
ユキ『いいや、もう決めた。今度引退式やるからマリえもんも来な』
なんだ引退式って、競馬かよ。彼の失恋もこれで8度目だったがとうとう諦めたのかもしれない
______引退式当日______
ほんとにやめるんだ...。グレン住宅村に招待されて、ユキのフレンド達が集まっている。6人ぐらいだ。…てか
マリ『全員女の子じゃねーか!』
明らかに恋人候補だった人達だよね!?まだ諦らめなかったら手出そうとしてた人達だよね!?
ユキ『えー、皆さん、私ユキは本日を持ちましてドラクエ10、すなわち、アストルティアから旅立ちます。今日は楽しい遊びを用意したので皆で最後に楽しみましょう』
なにこの小学生が発表するレクリエーションみたいな空気は。その後は防衛軍にコロシアムや隠れんぼなど色々遊ぶことになった。それなりに楽しみ、とうとう引退式は終わりを迎えた。最後はあっさりとしてて、ユキが『解散!』と言って皆帰ってしまった。普通もっと別れを惜しんだりしないのか…?
ユキ『マリえもん、コロシアムで勝ったから賞品渡すよ、これ』
そう言って手渡してきたのは『ごうかな玉座・緑』という家具だった。
ユキ『色々相談乗ってくれて、ありがとね。これからは美容一筋で頑張るよ。ルフィだって海賊王になるために戦ってるだろ。俺は美容師王になるため頑張るからさ』
そう言って彼はこの世界から去ってしまった。
・・・美容師王ってなんだ?と思いながら私も帰ることにした。
______2ヶ月後______
ユキ『マリえもん!』
私の前に引退した彼がまた現れた。
まり『引退したんじゃないのか?』
ユキ『あれからたくさん考えたけど、やっぱ俺この世界が好きだわ。だから、やっぱり諦めたくない』
じゃああの引退式は一体なんなんだろうと思いながら、まあこれはこれでいいかと私も思う。
ユキ『よーし、相方探すぞ~。あ、それよりマリえもん』
まり『どうしたのび太くん』
ユキ『前の引退式で来た娘達からフレ切られてるんだけど、マリサ連絡手段持ってない?』
まり『・・・ないな』