アストルティアには様々な商売方法があるよな。取引バザー、モーモンバザーに、グレン城下町で見かけるメタキンの周回など。でも今回はちょっと珍しい場所で物を売っている商売屋さんのお話。
______偽りのローヌ樹林帯______
フレンドのお誘いがあります!
偽りのローヌ樹林帯をドルボードで滑走中、突然のフレンド申請を受けて驚きながらも恐る恐る誰からの申請か見てみると、とーりんみせ(仮名だが"みせ"とはほんとに入っている)という名前の方からのフレ申請。変わった名前だな、と思ってると
とー『こんにちは』
ご本人がドルボードで近づいてきた。
まり『こんにちは』
とー『名前と姿が知ってる人だったので、追いかけて申請しました』
分かる人には分かることだけれど、私の場合たまにあることだ。フィールド上ではちょっと珍しいけど。
とー『ちょっと付き合ってくれませんか?』
まり『ん?』
とーりんみせはサイドカープリズムにドルボードを入れ替えて出してきた。
とー『乗ってください』
まり『い、いきなりだな』
とーりんみせのドルボードに乗り、丘やセレドット山道など色んなところを走り回った。終始無言で運転の仕方も目的地へまっすぐ進むというより岩陰や行き止まりの道にも行ったりとなにしてんだ?と思う進み方をしている。
なんで私を乗せたんだ・・・もしやこれは...ドライブデートってやつか..?
とー『…』
てかだとしたらなんで無言なんだ?また変な方向進んでるし…
とー『ちょっと待ってね』
とーりんみせは急に立ち止まる。どうしたんだと思ってると目の前には屈強なオガ男。サングラスをかけ、黒いスーツ姿なのでちょっと強面。
まり『…なにしてんのこれ?』
オガ『?』
オガ男は振り向いて不思議そうにこちらを見る。
とー『お兄さん、買っていきませんか』
オガ『…いえ、結構です』
そう言うとオガ男はドルボードに跨り走り去って行った。…どういう状況?
まり『なにしてたんだ?』
とー『ビジネスだよ』
ビジネス?
とー『人に物を売ってる』
そう言うと私に"とりひき"をして何を売ってるのか見せてくる。やくそう、まほうの小ビンなどそんな大したものは売ってないようだった。
まり『ふーん、フィールドでMPとか足りない人向けみたいな?』
とー『そんなところ』
まり『店で買うより安いのか?』
とー『ううん、やくそう99個でも3万Gだよ』
…は?
まり『ぼったくりじゃねーか!?』
とー『確かに街でやったら詐欺扱いされて集団で通報責めされるからこんな場所でしか出来ない』
まり『だからこんなところでやってんの!?』
いやいや、非効率すぎるだろ。モーモンバザーとかあるだろうに...
とー『俺は人の目を見てその人に大事な商品を売りたい。バザーだったらそれ出来ないからさ』
まり『かっこよく言ってるけど、物大事にしすぎて対等な取引になってないからね!?詐欺扱いにされるレベルで値上げしてるからね!?』
とー『でもたまに買ってくれるよ。1ヶ月に1人ぐらい』
まり『それ乞食に餌をあげる余裕があるお金持ちだよきっと!!』
ドライブデートかと思って焦ってた自分の気持ちを返してくれ。
まり『てか隣に乗ってた私も同罪ってことじゃん。なにしてくれんだよ!私まで通報されたらどうするんだ!』
とー『大丈夫...そんな一回の通報じゃ...あの部屋に連れてかれることはないから...』
まり『な、なんだよ、急に何に恐れてるんだよ』
とー『…とにかく、金持ってそうな人を見つける。装備とかアクセとか見たら持ってそうなのはわかるしね。』
その無駄な観察力を他のものに使ってくれよ…
とー『そして今回は必殺技もある』
まり『?』
______1時間後______
やっぱり非効率だと、次の人を見つけるまでにかかった時間を見て思う。エル男の前でまたしてもとーりんみせは"とりひき"を投げかけている。
エル『いりません』
とー『…』
また次の人現れるまで走るのか、と思ってると
とー『今回お買い上げ頂いたお客様にはなんと、このマリサがついてくるんです。』
まり『は?』
こいつ何言ってんの?
エル『間に合ってます』
そう言われ逃げられる。値段のせいだ私のせいじゃない。…じゃないよな?
とー『待ってください!!』
そう叫び追いかけるとーりん。
まり『もう降りる!これ以上は通報案件だ!』
サイドカーから飛び降りて脱出する私を置いてとーりんはブーストをかけてエル男を追いかけて行った。
その後逃げられて戻ってきたとーりんは、私を売りかけた罪としてハリセンでタコ殴りにされるのでした