ブーナー熱帯雨林に入って、どのくらいさまよっただろうか。
石碑が見つからない・・・。
もうあきらめようかと思ったそのとき、りゅうき兵をバッタバッタとなぎ倒す女冒険者の姿が見えた。
桃色の美しい髪をなびかせて戦っているその人に、なんとか気づいてもらおうと呼びかける。
3度目の呼びかけに気づいてくれたその人は、下からは登れない段差をわざわざ遠回りして来てくれた。
もう長旅をこなすベテラン冒険者で、さくらさんというらしい。
事情を説明し、石碑の場所をきくと、使い込まれた旅の手帖と地図を開いて調べてくれた。
そして、ボロボロになっている私の状態を察して、わざわざ連れて行ってくれた。
対岸に清廉の大滝を臨む石碑・・・。
大きな虹がかかる美しいその眺めをしばし堪能した。
さくらさんにお礼を言って、ルーラストーンで帰還。
無事に目的を果たした。
さくらさん、あんなとこで修行してるなんて、スゴイな・・・。
しかも、とっても親切だったし。
まだまだ新しい自分の手帖を眺めながら、冒険者としての理想の自分を思い描く。
が・・がんばるぞっ!
ささやかな決意とともに、ジョッキに残ったビールを飲み干した。