「ラーーン!家買ったんだっ!」
お互いそれぞれ旅しているのに、呼び出すと時間通りにやってくる。
あの頃と変わらない光景。
遠くから全力で走ってくるトンがちょっとほほえましかった。
「おうよ。正真正銘、本物のアジト!」
「すごいーーー!家だっ!アジトだっ!屋根があるっ!」
久しぶりに幼なじみに大きな顔ができて、アタシも得意気だった。
「あ、これ、調達してほしい素材のリスト。地図も用意しといたから。」
「さっすが、ラン!調べてくれたんだ。オイラがんばって拾いに行くよ♪」
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しおかぜ草 50本
ヤシの実 80個
さざなみのしずく 25杯
ウェナールシェル 8個
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リストを見ても顔色ひとつ変えないトンに、本当に拾えそうか訊こうとして・・・やめた。
ウキウキしながら手を振って走っていくトンを見送った後、アタシは大きくひとつため息をついた。
はぁーー・・・アタシ、相変わらずズルイな~。
過酷だって分かってて、過酷さを伝えずにたのんでる。
アタシとチャジロのせいで、よくボロボロになっていたトンを思い出して、ちょっと後ろめたかった。
ゴールド、またがんばって貯めよう。
アイツもいつか、家を建てるときが来るだろうから。
そのときは、がっつりカンパしてやるかな。