「はぁー・・・。ラン、ほんとに人使い荒いんだから。ええっと、確かこのあたり。」
ガタラの飲み屋で受け取ったドワーフ酒を、アズラン住宅村まで届けに来た。
「おお!ここだここ。ふーーん、イリアさんって人の家か。」
番地の書かれた紙と立札を見比べて、預かっていた合鍵でお邪魔する。
「どっこいせ。」
酒タルを運び入れて、ひと息つくと玄関の開く音がした。
「あ、もしかしてランに言われて家具の配置しに来てくれたトン?」
振り向くと、そこにはとても美しいウェディの女の人が立っていた!
あのランをお金でつかうって、どんな人かと思ったら!
う・・・うるわしすぎるーーーーーーー!
「私、インテリアのセンス無くて、ランにたのんだんだ~。家具重いでしょ。何か作るからよかったら食べてって♪」
キュートに照れたその人は、真新しいキッチンで料理を始めた。
がぜん家具を配置する手にも力がこもる。
せっせと配置図通りにベッドやタンスを動かして軽く汗をかいた頃、キッチンからいい匂いがしてきた♪
「いっぱい食べてね♪」
新しいテーブルに並べられた料理はどれもこれもおいしそうで、オイラのおなかがぐぅと鳴った。
あったかいスープ、黄金色のパイ、グリルチキンに、よく熟れたフルーツ♪
そして目の前には・・・・♪
ほうっ・・・・・。
至福のため息をつきながら手料理に舌つづみを打っていると、イリアさんはお仲間に呼ばれたらしく、いそいそと外出の準備を始めた。
「ゆっくりしてってね~♪」
「は、はいっ!さすがイリアさん!おモテになる!」
町へ向かったイリアさんを見送った後、もう少し長居したくて部屋に戻る。
家具が配置された部屋をあらためて見回して、ふとキッチンに足を踏み入れた。
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「お、おいしそうなシチュー!」
あれだけごちそうになったのに、なべから漂ういい香りにつられて、自分でよそって食べてしまった。