そんな人間
居るわけないじゃん
「・・・
居ちゃ・・悪いかよ・・・
朝 自宅
あの時 やらかしてしまったことが
トラウマになってるな
そうだよ
普通の考えなら居るわけないよ
・・・でも
・・・居ちゃ・・悪いかよ
「・・・」
また 朝目覚めると始まるアレ
原因不明の頭の重さと神経過敏
これが軽くなるまで何もできない
朝ご飯を用意することすらも
この前は軽くなるまで
8時間かかったっけ
お腹空いたな
でも
つらくて何もできない
耐えるしか・・・
「・・・」
良い匂い?
あぁ ヘルパーと契約したんだっけ
この悩みを言ったら
朝ご飯作ってくれるって
あれ 本当だったんだ
作ってくれた朝ご飯を食べる
「・・・」
「おいしい?」
「・・・もう
我慢しなくていいの?
「え?」
「障害がひどくて
自分で朝ご飯すら作れなくて
腹が減って我慢して耐えて・・・
・・・でも もう
我慢しなくていいの?
「・・・うん
私が毎朝 作りに来てあげる
「・・・」
「ちょ!泣いてるの!?」
「・・・うれしくて」
「そっか」
食べ終わったあと
アニメを見る二人
「この主人公がイケメン過ぎて
そこで そのプレゼント選ぶの
尊敬するわ」
「でも冬の日の寒い場所で
彼女を待たせるのはあり得ないけど
喫茶店とかで待たせれば良かったのに」
「そっか
そういう考え方があるか」
「この主人公 紳士的で
気配りできて逆ナンされるほどの
イケメンなのに
なんでこんな自分を卑下してるのか謎」
「過去に何かあったのかな?」
恋愛物のアニメの話で盛り上がる
「(・・・話も趣味も合う)」
「あ そこの本棚にあるの取って?」
「ヘルパーが
障害者をコキ使うなよ?」
「貴方の近くにあったから」
「・・・
こんな誰かと会話したの
いつ以来だろう
「(もう
人と関わろうとも思わなかったのに)」
・・・壊れすぎて
「ねえ?
貴方は
どんな子供だった?
「・・・
(やめろ)
「聞いてみたくて」
「・・・
居るわけないじゃん
「(また 言われる
やめろ 絶対に言うな
「教えて?」
「・・・
もう・・どうにでもなれ・・・
「子供の頃から
障害者だったんだ
「・・・」
「義務教育すら通えていない
通えるような身体の状態じゃなかった
そして人と関われなかったため
人としての普通の考え方も
人としての心の感じ方も
・・・できなくなっていた」
「・・・」
「気づいたら
取り返しのないくらい壊れてて
みんなができる
当たり前の事ができなくて」
「・・・」
「子供の頃から
寝たきりみたいな生活を送ってる」
「・・・」
「(なぜ言った?・・また言われる・・・
・・・そんな人間
居るわけないじゃんって