「てめぇ魚野郎!今これ完全に狸の味方するって流れだったろ!?何トチ狂ったこと言いやがる!?」
「この世に女性というものがある限り、例えそのヒトが悪人でも、僕は常に女性の味方とならねばならないのさ!これはお金より友情より優先しなければならない信条なのさ!何が悪い?」
「くっ、クレイジー…!!女性信者ってそういう意味だったのか…!!コイツと仕事仲間になったのが運の尽きだったのか…!?」
ギャーギャー騒ぎ出す一同、含む俺。外で見る分には愉快な絵面である。多分。
そんな俺たちに向かって、店主はうんざりした顔で、
「あー、ちょっといいかい?君らの言う強盗団のメンバーリストを知りたいというなら、追加料金で教えてもいいけどね?メンバーの性別だけなら1万からだ」
と言った。
俺たちと同じく、強盗団メンバーの一部しか見てない筈の店主が、なんで全員分のメンバーのことを知ってるの?なんてツッコミはしない。どうせ私設部隊の調査力の賜物とか、そんなような話だろう。
「よし払おう。僕のポケットマネーから払おう」
「お前、ポケットマネーなんてあるの…?」
「毎度あり。安心してほしい、彼らの中に女性メンバーは居ないよ」
「オッケー、よくわかった。37564だ」
と、怪盗もどきはさらっと恐ろしい台詞を吐いた。
頷いた店主は、
「で、結局話はまとまったと思っていいのかい?随分雑談に花が咲いた様子だったけど」
と、俺と怪盗もどき、化け狸の3人に言った。
3人とも、無言で頷いた。
「あいわかった。どうやら君らは3人で動くつもりのようだが、僕ら裏クエスト屋で手伝えるようなことはあるかい?希望があれば、個人レベルで相談に乗ってあげてもいいよ?」
と、店主はお決まりの営業文句を言った。隙あらばお金を巻き上げにかかる姿勢である。
俺と怪盗もどきは誘いを断ったが、化け狸だけは
「あ、じゃあ俺様。店主とサシで話をさせてくれ。2人と話つけた後でな」
と、店主の申し出を受けた。
それから、化け狸は俺と怪盗もどきに向き合って、
「んじゃまあ、細かい話をする前に。一晩よろしくな」
と言った。
「いいともいいとも。面白いヒトと仕事するのもオツだね、デートの次に」
「なんなら今度、女の口説き勝負でもするか?カノジョを先に作った方が勝ちな。サングラスのお前はどうする?」
「痴態晒して胃袋壊れるからいい、淫乱狸とハレンチ魚だけで行けよ」
「おおう…さては童貞だなお前」
「うるせぇ!」
「まあまあ、ではでは。あまり遅くなると手遅れになるのでこのくらいに」
化け狸は真面目くさった顔で、怪盗もどきは面白がった顔で、俺はしかめっ面で。
声だけは合わせて、
「邪魔者蹴散らし、いざ埋蔵金だ!」
と、気合いを入れて叫んだ。
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