「チクショウ、逃げられた!あの野郎、やっぱり騙してやがったな!」
激昂する俺に、怪盗もどきが困惑した顔を向ける。
「騙す!?一旦どういうことだい!?彼はどうして逃げたんだ?いやそれより、宝箱の中身はなんだったんだい!?」
気を落ち着けつつ、俺は怪盗もどきに告げた。
「ガラクタだ!虫の沸いた熊の人形とか、一目でわかるガラクタだった!くそったれ、まさかここに来て、仕事仲間にまで騙されるたあな!あの野郎、やっぱりアレを見てたから、俺たちに中身を見せたがらなかったんだ!!」
「はあーーーっ!?ガラクタ!?じゃあ、僕らの報酬はどうなんの!?まさか、無一文!?」
「無一文だコンチクショーーー!!やっぱり埋蔵金なんてウソっぱちだったんだ!」
いや、確かに最初は怪しく思ってたんだ。犬の首輪に隠された地図。あちこちほじくり返しても出てこない宝物。実物にしても、プクリポが抱えられるくらい小さい宝箱。
だが、状況が進めば進むほど、『怪しい』という直感より、目の前のアクションに夢中になってしまった。忙しさにかまけて、途中で降りる決断を先延ばしにしてしまった。とんでもない骨折り損だ!
全ての努力が水の泡と消え、俺は脱力感よりも先に怒りが沸いた。
化け狸。奴は埋蔵金の信憑性が低いことなど、初めから薄いことに気付いていたに違いない。誰よりも先に、出処の怪しい地図を確保していたのだから。
気付いていながら、とんでもない徒労を俺に押し付けたのだーーー!!
「よーし、今夜は狸鍋だ!!化け狸をとっちめるぞ!!」
「ええっ、狸鍋?いつ以来だろ…じゃなくて!どうやって追いかけるつもりだい!?ルーラストーンで逃げられたんじゃあ、どこに行ったかもわからないじゃないか!」
「裏クエスト屋だ!アイツ、宝箱を裏クエスト屋に持ってくつもりだった!」
俺はそう言うなり、ガタラに向かって走り始めた。残念ながら、ガタラ行きのルーラストーンを持っていなかったのだ。怪盗もどきも後ろから付いてくるあたり、恐らく事情は同じだろう。
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