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---閑話
用心棒たちの去った裏クエスト屋にて。
「お館様、件の強盗の面々、処置が済みました」
「ご苦労様、ミカヅチさん。なかなか苦労したんじゃない?オルカだっけ、オーガの彼なんか相当暴れたと思うけど」
「『我ら』にそうお聞きなさるか。たかだか食い詰め者、拷問などのし甲斐もない口の軽さでしたよ」
「くっくっ、それもそうだね。もとは亡国の特務部隊、拷問の類はお手の物か…サングラスの彼みたいな甘ちゃんには、こんな生臭いものは見せられないね」
「…」
「で、どうだい。何かわかった?」
「はい。オルカというオーガ1人のみのようですが、『呪術王』と関わりがあったようです。何やら、とてつもなく危険な筋から金を借りてしまった…というようなことを口にしました」
「ははあ、なるほど。それで特攻まがいの無茶な『埋蔵金』発掘計画なんて立てたのか、一刻も早く借金を返すために。『長年探していた』なんて言ってたのは、やっぱり見栄を張った嘘か。ふーーーん…胡散臭いね。『呪術王』単体が金貸しなんてやるはずないし、借りた先が適当なことをふかしてるだけな気がするけど…一応、その『借金先』についても調べておいて。念のため、深追いはせずにね。何しろ、往年の一級冒険者数人を死に至らしめた厄ネタだ、用心に越したことはない」
「はっ、仰せのままに…よもや、今更になって『呪術王』の名を聞くことになるとは思いもよりませんでした」
「だよねえ。かつて闇業界全体を震撼せしめた『呪術王』一派…ある意味『冥王』より世間を騒がせた有名人だし、中々忘れられるもんでもないみたいだね」
「エクゼリア王国を崩壊させたという噂…本当でしょうか」
「どうだか…と言いたいけど、結構真実味があるのが困りどころだ。『一番悪い奴』は捕まったけど、『一番危険な奴』は野放しのまま…まったく、面白い話だよ」
そう語るオーガの男-裏クエスト屋店主とも呼ばれる男は、しかし表情が固かった。
『呪術王』のもたらした災禍は、善人悪人問わず甚大なものだった。このオーガの男にとっても、思い出したくない類の出来事だった。
「さて…『キリン』はどう動くのかね?」
(その5・了 第2エピソード「ガタラ財宝発掘倶楽部」完了)
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