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自宅の菌類

アオマリモ

[アオマリモ]

キャラID
: RU977-303
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

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アオマリモの冒険日誌

2022-07-23 21:19:44.0 2022-07-23 21:49:15.0テーマ:その他

街談機関 その6「マシラの舌」31


 鉄製の回転椅子に座った一人と、その人物にべったりと張り付く一人。
 張り付いている方はウェディの女だ。薄い水色の肌に紫色の髪、黒いジャケットにショートパンツを履いて、椅子に座る人物の首を、背もたれ越しに両腕で囲っている。見るからに恋人然とした甘ったるい仕草だ。
 一方の椅子に座る人物は、人間の男のようだった。後ろにべったりくっついている女には目もくれず、そろばん大の小さな板を一心不乱に叩き、目の前の水晶板に見入っている。

 俺とその他の男たちをここまで連行したオーガは、この部屋に俺たちを押し込んだ後、さっさと退散してしまった。なんとなくだが、こんな部屋から一秒でも早く抜け出したいという、焦りのようなものを感じた。
 せっかく連行した俺たちを逃がす心配はしないのだろうか?恐らくしていない。このときの俺たちはあまりにボロボロで、歩くだけで精一杯という有様だったのだ。

 ウェディの女は、首を回してこちらを一瞥した後、
 
 「カーくん、来たみたいだよ。例のヒトたち」
 
 と、甘ったるい口調で、椅子に座る男に声を掛けた。

 ぐるり、と椅子を回転させて、男は俺たちを正面がら見据えた。
 眉間にしわを寄せた、険しい顔をした男だった。緑色の髪が目を引く。
 顔立ちは整っており、血色もよさそうだが、なんだろう。どことなく無機質な印象を与える視線だ。生身のヒトを見るような感じではなく、路傍の石ころを見つめるような…

 女の方は、椅子の回転に合わせて、男の背中に移動している。相変わらずのべったり具合で、男との蜜月具合が透けて見えるようだ。
 最初は背中越しで見えなかった顔が、俺の正面に回ったことではっきりわかった。美人な顔立ちで、目じりの下がった表情がなんとなく猫を思わせる。

 俺はここで、その女がメルトアに似ていることに気付いた。
 似ているというか、同一人物じゃなかろうか…身長と顔立ちはそっくりだ。そっくりなんだが…どうも確信が持てない。『借金取り』たるメルトアは、ドラゴンと見間違うような実に迫力のある表情をしたものだが、この女は印象が違う。なんだか甘ったるい表情をしている女であり、身にまとう覇気がメルトアと全く違う。

 連行されたうちの一人であるウェディの男が、不意に叫んだ。豊かに生やした口ひげが土くれで汚れている。

 「め、メルトア!助けてくれ!」

 男は、正面のウェディの女に呼び掛けた。
 メルトア。メルトアっつったかこのおっさん。やっぱりこの女、借金取りと同一人物なのか?もう一度まじまじと女を観察したが…だめだ、やっぱりしっくりこない。どうにも表情と雰囲気が借金取りのメルトアと別物だ。なんだ、この違和感?

 当の女の方は、叫ぶ男のことなど気にも留めない。椅子の男の頭に顎を乗せて、冷たい視線で床に這いつくばる面々を見下ろしている。

 ウェディのひげおやじは、めげずによろよろと立ち上がり、椅子に座った人物の方へ近づいていった。
 周りの男どもは、信じられないといった表情でウェディのおやじを見ていた。というのも、恐らくはウェディのおやじを除く全員が、椅子の男の異様な雰囲気に呑まれていたからだ。ゴーレムを思わせる無機質な目をした椅子の男は、一見するだけで不吉なものを感じさせる。俺を含めた全員が、とにかく椅子の方へ近寄りたくないという決意を固める一方で、ウェディのおやじだけが近づいていったわけなのだ。

 ひげおやじにしたって、別に人一倍の勇気を持っていたわけではないだろう。彼の場合、椅子の男よりも優先すべき事項があっただけだ。つまり、メルトアと呼ばれた女に助けを求めることだ。
 ひげおやじは貼り付けたような笑顔を浮かべて、必死にメルトアにすがった。

(続き・https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7171664/)
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