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自宅の菌類

アオマリモ

[アオマリモ]

キャラID
: RU977-303
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

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アオマリモの冒険日誌

2023-10-22 22:38:22.0 2023-10-22 23:05:13.0テーマ:その他

街談機関 その7「勇魔跳梁」50


***

 ――〇月×日 土曜日 昼十三時四十分。
 逢魔が時、来る。

 呪術王対策チームの陣取る砂浜に、一人の青年が現れた。ちょっとびっくりするくらいの勢いでこけて砂浜に突っ伏した青年が、ジャックという名前であるとわかるのは、この場ではポポムしかいない。
 その青年を追いかけるように、『怪物』が現れた。
 咆哮もなく、何でもないように歩み寄るそのドラゴンを見たとき、対策チームの面々に悪寒が走った。それだけで十分だった。

 「島中央より、呼称不明のドラゴンが接近!!」

 「迎え撃て!!」

 物見の報告と、部隊長の声がほぼ同時に響き、戦端が開く。

 最初にドラゴンと接敵したのは、大盾を構えたパラディン隊八名。
 前衛がドラゴンを食い止め、その間に後衛の魔法使いたちが呪文を一斉放射し、仕留める。そんな単純な作戦。ただの魔物なら、それで問題なく仕留められる。

 接敵した瞬間、ゴォアッシャァという衝撃音が響いた。
 ドラゴンが、両の腕を勢いよく振り下ろした音だった。神域の速度で振り下ろされた鉄槌は、屈強なパラディンたちを真上から捉え、天を衝くほどに砂を巻き上げた。
 ネクロバルサの群れに動じないはずのパラディンの両脚が、その一撃で砕かれた。
 機動力を失ったパラディンたちを、ドラゴンの薙ぎ払いが襲う。抗うこともできずに巻き上げられたパラディンは、宙を舞って海に落ちた。

 あっという間の惨劇。対策チームの面々に、呆然と恐怖が伝播する。
 表情筋に乏しいはずのドラゴンの顔に、邪悪な笑みが浮かんだ。ように、見えた。
 後陣に控える警視長ポポムと警視正ベレーは、そのドラゴンの表情を見て、ひゅっと息を呑んだ。

 「…『しん・りゅうおう』、だ。魔物使いの昔話に登場する『はざまの闇の王』のしもべ。島国マルタを滅ぼそうとする、破壊の使者だ」

 ベレーが呆然と呟いた。場違いな所感が飛び出すあたり、その混乱ぶりが伺える。

 このまま戦闘に入れば、多くの死傷者を出す。劣勢を悟ったポポムは、脊髄反射の勢いで叫んだ。

 「フィンゴル、出ろぉ!!!」

***

 逃げろ。頭にはその単語しか浮かばなかった。
 決して後ろは振り向かない。振り向いて恐怖に染まった瞬間死ぬ。足が止まった瞬間死ぬ。こけても死ぬ。速度を緩めた瞬間死ぬ。レンガ街の袋小路に入った瞬間死ぬ。
 死ぬ気で逃げろ。足が折れても逃げろ。岐路はコンマ一秒かけずに『右だ』逃げろ。とにかく逃げろ。逃げろ逃げろ『左』逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ『そこ飛んで』逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ『着いたぞ』逃げろ逃げろ!!!

 ぐき、と、何かに足を引っかけて盛大にこけた。それまでの速度のまま、ごろんごろんごろんと数メートルも身体が吹っ飛んでいき、砂浜に突き刺さった。
 ああ、俺死んだ。身体が停止した瞬間、唯一の生存戦略がとん挫したことを感じ、背筋が凍り付く。

 死を覚悟して身体が硬直する前に、俺は砂浜から起き上がる。
 砂浜。砂浜?そう、砂浜。俺はいつの間にかレンガ街を抜け出し、オールドレンドア島の海岸に出たことを理解した。
 頭上には、今まさに宙を舞う鎧姿の兵たちの姿があった。重装備の男たちが空を滑空する場面に絶句して、周りを見渡す。
 周囲には、百人ばかりの男女たちがいた。お揃いの制服から、呪術王対策チームの面々だとわかった。屈強そうな顔面に恐怖を貼り付け、ただ一点を見つめている。

・続き:
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7622140/
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