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自宅の菌類

アオマリモ

[アオマリモ]

キャラID
: RU977-303
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

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アオマリモの冒険日誌

2024-03-31 22:10:27.0 2024-03-31 22:14:55.0テーマ:その他

街談機関 その9「それから」14


「こいつは、ある筋から入手した情報だ。
 海を渡った先のレンダーシア大陸――その遥か上空に、空飛ぶ大きな『門』が発見された。硬く閉じられた門は何をしても開く様子がないが、『とある男』が持つ印章のような何かを掲げるその時だけ『門』が開いて、深い闇が覗く内側を見せるのだと。その先には、神話の時代にアストルティアから切り離され、異界に封じられた幻の大陸が鎮座ましますって話だ。
 本当だとしたら、こいつはとんでもない話だ。アストルティアの六大陸が全て見つけ出されて幾星霜、久しく現れなかった『新世界』が、ヒト知れず大口を開けて待っているというわけだ。この未知を見て見ぬフリをする手なんかない――僕らはね、これから、世界に先んじて『新世界』に乗り込むんだ。裏クエスト屋なんか経営している暇はもうないんだよ」

「――――ちょ、ちょ、ちょっと待て。何を言ってるんだ、あんた」

 俺は予想だにしていない荒唐無稽な話を聞かされて困惑した。ロマンチックな冒険者が憑りつかれるような妄言を、リアリストであるはずの店主が口にしているのにも尚更面食らってしまう。

「あんた、そんな不確かなネタに飛びつくキャラだったか?」

「眉唾物とは思えないだけの裏付けはしたさ。『魔界』とか『ナドラガンド』とか、アストルティアじゃない『どこか』の存在は、昔から散々伝説で語られているだろう?
 『門』の話だって、信頼できる相手から詳細に聞き出したものだ」

「いや…事実だとしても、あんたは冒険者じゃなくて商人だろ。そんな稼げるかもわからん話に手を出すクチかよ」

「『奇貨居くべし』ってことわざを知らんのか、君は?今は価値がわからないようなものでも、珍しいものを買っておけば後々大儲けできるって考え方だよ。
 現代のアストルティアは安定している反面、目ぼしい資源やお宝は掘りつくしてしまって、経済的な成長が頭打ちになりかけてる。『新世界』から新しい資源を持ち帰れれば、そいつが爆心地になって多くの大金を生んでくれる。商人にとって、『未知の世界』はそのまま大金の山なんだよ。
 こういう、新しい海路が開きかけたタイミングを逃さないために、普段から金と人材をかき集めてきた。こんな千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないのさ」

 野望を滔々と語る店主の目は、火が付いたようにギラギラと光っていた。インテリぶっている普段の様子からは想像もつかない姿だった。

「……新世界の冒険って、ぶっちゃけ命がけだろ。書斎に引きこもって詐欺話をしてるあんたが手を出す分野の話だとは、どうしても思えねえんだけど」

 『門』の実在については未だ半信半疑であったが――俺は不審な目を店主に向けた。
 冒険者にとって『未知』とは、死と隣り合わせの危険を意味する。新海域の航海に漕ぎ出して命を落とした冒険者の話は数知れず。金、金と言いつつも、その旅路は常に命を天秤にかけたギャンブルに等しいはずだ。
 町に店を構えて、商売なんてしょっぱい話をしている奴が、そこまでする理由とは何なのか?

「ここ二年の付き合いしかない君には奇異に映るだろうがね、僕はずっと前から、機会があればこうしたかったんだ」

 店主はたった一人の聴衆に向かって、演説するように指を上げた。

「僕はね、他人が決めたルールに問答無用で従わなきゃならないっていう現状が気に入らないのさ。
 オーガに生まれついたからには、自分を至上のルールとし、自ら法を布いて支配を行き渡らせる覚悟で生きるべきだ。他人の作ったルールに託す命運なんぞ、生来持ち合わせていない。
 ――とはいえだ。この社会で生きていくには、不本意ながら、ある程度は社会のルールに従わなきゃならない。この社会でモノを言うチカラといえば、金だ。金があるほど好き勝手できるわけだ。
 将来この社会から脱出し、自分のルールで好きに生きるには、莫大な金がいる。裏クエスト屋も、『新世界』の開拓も、六大陸の国々に対抗し、乗り越えるだけの大金を生み出すための下準備さ。
 いずれ僕は、稼いだ金を使って社会からあぶれた悪党を集め、自分の国を作るつもりだ。そのために、命も部下も、今持っている資産も、使えるものは全てつぎ込むのさ」

・続き:
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/127254852654/view/7768957/
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