コーディアスの冒険日誌

;たとえばあいつの事　憎めるとしたならば
;少しは心も軽くなるかしら

あの人には悪い癖があって、やれ結婚式だ葬式だと言っては１週間、長いとひと月も居なくなる。
僕は一度も何処にいるんだなんて聞いたことはなかった。包容力とかカイショーとか、そういうつもりだった。

でも今回は言ってしまった。
こんな時に都内をふらふらほっつき歩いてんの、自宅に戻るべきじゃないか、って。
「都内ではありません近郊です。電車に乗らずに車を借りています。何故そんな事を言われなくちゃならないのか、不愉快です。」

不愉快、か。
俺の心の、どこかが閉じた。
ひと月も泊めてくれる誰かが居るのは知ってたさ。

;ねぇ…キラキラと輝くグラスには
;いくつの嘘が溶けてるの

２ヶ月経った。
あれ以来、連絡はぱたりと来なくなった。
結局最後まで何をしているのかは分からずじまいだったけれど、もうそんな事はどうでも良い。嫌な面しか思い出せない。
私は電話帳からあの人のエントリを削除し、LINEから抹消した。
楽にもならないし、苦しくもなかった。
何も湧いては来なかった。

;あいつなんか　あいつなんか
;あいつなんか　ただの通り雨

１５年降り続いた通り雨が止んだ。
今日から、水無月だ。