妖精の格好になったので町に行ってみました。
こんにちわ、あの、道に迷っちゃったの。ここはどこ?
町の入り口にいた子供たちに恐る恐る話しかけました。
〔ここはハロウィンの国だよ!ずっとハロウィンの夜なんだ!〕
〔もしかしてハロウィンの姫にいたずらされた?取り換えっ子されたんじゃないの?〕
そう!そうなの!スっごく困ってるの。お家に帰りたいの!
取り換えっ子の意味は良く解りませんでしたが、姫のいたずらという言葉に勢い返事します。
〔じゃああの家のドアを開けてごらん!そのランタンがあれば迷わずに帰れると思うよ〕
そう言うと二人は遠くに見える家を指さしました。
二人にお礼を言うと、ランタン片手に走り出します。
あの家に道を知ってる人がいるのかもしれない!よかった!よかった!
不思議な色に光るランタンが道を照らします。
教えてもらった家に着くと、ドアをトントンとノックしました。
すいませーん!誰かいますかー!
【はいっておいでぇ~】
くぐもった声が聞こえたので、言われるままにドアを開けて中に入りました。すると、ドアはバタン!と勝手に閉まり、家に入ったはずなのに見知らぬ場所に居ました。
【そのまま走りなさい~。追いつかれたら戻れないよ~】
なななな、なんですって?!
何が追ってくるのかも解らずにとにかく走りだしました。
わぁーーーーーーん!こわいよぅーーーーー!
走りながら怖くて泣きそうになりました。すると、ランタンが元気づけるように手元で色を変えました。
『がんばれ!がんばれ!まっすぐ進むんだよ~!』
なんとランタンがしゃべりました!
えええーーーー!しゃべれるのぉーーー!
『顔があるんだからしゃべれるよぅ!とにかく走って!!』
わ、わかったよぅ~!
短い脚でシャカリキに走ります。でもどこまで走ればいいのでしょうか。
☆あらあら、国の誰かが入れ知恵したのねぇ~、まったくもう!せっかくの楽しみが半減だわ☆
ハロウィンの姫は頬杖を突いたまま、つまらなそうにため息をつくとふんっと鼻息荒く独り言を続けます。
☆まぁ取り換えっ子はばれてないみたいだし、まだまだお楽しみはのこってるもん!☆
困ったお姫様の退屈しのぎでいい迷惑ですねぇ。さてさてあの子は無事に逃げ切れるのかしら?
つづく