むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日のこと、おじいさんは川に洗濯に、おばあさんは山に山菜摘みと、たけのこを掘りに行きました。
おばあさんが竹林に入ろうとしていたら、竹林の奥の方から何かを焼く香ばしい匂いと、小さな女の子のかわいらしい歌声が聞こえてきました。
ふしぎに思ったおばあさんが近付くと、竹の根元に、竹の中にすっぽりとおさまってしまいそうなほど小さな女の子が、たこ焼きを焼いていました。
女の子はおばあさんに気がつくと、どうぞと言って、たこ焼きを1つ差し出しました。
お腹がすいていたおばあさんは喜んでいただきましたが、あまりに小さなたこ焼きだったので、
かえってお腹が空いてしまいました。
それでも女の子が大きくなったらきっと自分の口のサイズに合う大きさのたこ焼きを焼いてくれるだろう。と思ったので、おばあさんは女の子を育てる事にしました。
それからというもの、女の子は「たこ焼き姫」と名付けられ、すくすくと育ちました。
たこ焼き姫はとても成長が早く、一月でおじいさんとおばあさんより背が高くなるほどでした。
たこ焼き姫はおいしいたこ焼きをたくさん焼きましたので、それが評判になってたくさんの人が
押し寄せました。
貧しかったおじいさんとおばあさんは、たこ焼き姫の焼くたこ焼きのおかげで、だんだんゆたかになっていきました。
そんなある夜、おじいさんはたこ焼き姫が月を見て泣いている姿を見ました。
姫や、何をそう泣くのだい?
おじいさんが心配そうにたずねると、たこ焼き姫は涙ながらに答えました。
おじいさん、私は月から来た人間なのです。あの月がたこ焼きのようにまん丸になったら、わたしは月に帰らなくてはいけません。
これにはみんな驚き、おいしいたこ焼きが食べられなくなっては困る。と、帝をはじめ、たくさんの人が姫を帰らせまいと、家の前で交代で見張りをつとめました。
月が丸くならないようにと、月に向かって靴を投げる人もいました。
しかし無情にも月は焼きたてのたこ焼きのように丸くなり、月からの使者がやって来ました。
たこ焼き姫が使者の牽いてきた牛車に乗り込もうとした時、異変が起きました。
地上で暮らしていた姫はあまりにも大きくなっていたので、小さな月の牛車には乗る事ができなかったのです。
月からの使者は泣く泣く手ぶらで帰っていき、人々はたこ焼き姫が地上に残ったので大喜びでした。
しかし、たこ焼き姫は嬉しくありません。
どうにか再び、故郷の土を踏みたい。
そう強く願うたこ焼き姫は、どうにかして再び体を小さくしようと考えました。
酵素ドリンクを飲んだり、ご飯の代わりにおからクッキーを食べたり、激しい運動をしてみましたが、どうしても続きません。
こういった努力を飽きずに続けられるようにと、
あきな~い。
あきな~い。
たこ焼きを作りながら、毎日言い続けました。
この事から、現代では、商売のことを「あきない」と言うようになったと伝えられています。
さて、それでも体が小さくならないたこ焼き姫は、とにかくたくさん歩こうと思い、力の限り
どこまでも歩き続ける事にしました。
そして、たこ焼きを売り歩きながら、全国を行脚したのです。
これによって、日本全国にたこ焼きが広まったと言われています。
また、たこ焼き姫に出会った人。そして、たこ焼き姫の作ったたこ焼きを食べた人は、みんな元気になったり商売がうまくいくようになった。
といった出来事が数多く残っており、いつ頃からか“商売の神様”と噂されるようになりました。
今でも日本各地のそこかしこで、うっそうとした竹林の入り口に、おかっぱ頭の小さな女の子の姿をしたお地蔵さんが置いてあるところがあります。
見つけてお参りすると、たこ焼き姫のおかげで商売が繁盛するようになると、
今もなお言われています。
どっとはらい(おしまい)
【水の民ウェディ】をピアノで弾いてみました。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=4Rdyf_mTbhY
良かったら覗いてみてください。
~海に消えた祈り~
ウェディの二次創作を元にして作詞した歌
⇒https://www.youtube.com/watch?v=X9NhGuDBcFw
~Don't have to Worry~
むかし加入していたチームの、サブリーダーをモデルにして作詞した歌
⇒https://www.youtube.com/watch?v=ZGqbBRKjufM