僕が自宅で明日の予定を立てていると、レーン君が戻ってきました。
「ああ、おかえり。どうだった?」
振り返ると、レーン君は久しぶりにみんなと会えて嬉しかったのか、とてもニコニコしていました。
『うん。やっぱり自分で話せた方が楽しいね』
だって!まあ、普通に考えてそうだよね。
”幽霊だから他の人に見えないだろう”ということで僕が代役になったわけだけど、正直レーン君のフリをして周りの人と接するのはかなりキツかったです。
すぐ近くで代わりに返事をしてくれるからその通りに話すんだけど、どうしてもワンテンポ遅れちゃうし。それにちょっとした口癖とか、仕草とか・・・ね。本当に本人になりきれているのだろうか?と思うと不安でしょうがなかったよ。
「ヒューザや院長先生や、みんなは元気だったの?」
『うーん・・・・・』
あれ?どうして急に黙っちゃったんだろう??
『何ていうかね、その。元気だったんだけど・・・・』
「うん」
死んだってわかったから、誰か友達が泣いちゃったのかな?
レーン君はしばらく俯いていたかと思うと、
『自分がもう、みんなとは違う世界に来てしまったんだなって・・・・実感しちゃった』
それからポツリ、ポツリとレーン君は話し始めました。
周りになるべくショックを与えないように、院長先生からは「アーシクが結婚した頃に事故で亡くなった」とだけ説明があり、詳しい話は一切されなかったこと。
もちろんショックを受けたり、泣き出す友人は少なくなかったけれど、
「生まれ変わることがあったら、また遊んでね」
と言ってくれた人がいたこと。
『生きていたらね』
と、レーン君は言いました。
『生きていたら「次があるから」とか、「明日があるさ」って言えるでしょ?でも、僕はもう死んでいるから、死んだ後のことを言える人なんて誰もいないんだなって。みんな死んだことがないから、死んだ人に対して言える言葉なんてないんだなって。分かっちゃった』
会えたのは良かったかもしれないけど、レーン君にとってこれは良いことだったのかな?と思うと、何だかフクザツな気持ちになりました。
『あと、ごめん。僕ね、君が眠っている時にコッソリ近づいて、体に戻れないかな?って試したことがもう何回もあるの』
「あれ?そうだったの?全然気づかなかったよ」
死んだとは言え、自分の体は無事なんだもん。そりゃ試したくなるだろうな。
「そう言えば、ヒューザは何か言ってたの?」
『うん・・・』
少し黙ったかと思うと、
『天国でもどこでもいいから、自分の行くべき場所にサッサと行け!って怒られちゃったよ』
へへっと言った感じで笑い出しました。
僕は人間だった時の体を取り戻すことができたんだし、いつか自分たち2人が分離できたらいいのにな。と、ふと思いました。
そしたらレーン君も復活できるんだろうけど・・・でも、そんな方法たぶんないよね?
『天国にはちゃんと行けたから、別にいいんだけどさ。じゃあ、僕も帰るね』
と、レーン君は言って立ち去りました。
この時僕が、ふと思ったこと。
もしレーン君が転生できるんだったら、の話なんだけど。
いつか僕が誰かと結婚した時、レーン君を自分の子どもにできないかな?
もちろん本人が会いたがっていた、元々の両親みたいにはできないかもしれない。でも、もしそれができるんだったら、親になってたくさん愛してあげたいなあ。
なーんて。
自分のことやモンスターの世話で忙しいから、それどころじゃないかもね。
そんな事を考えていたらドアをノックする音が響き、誰かが訪ねてきました。
♪海に消えた祈り♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=X9NhGuDBcFw
♪男声バージョン♪
→https://www.youtube.com/watch?v=J6VGjGbm3KY
去年pixivに書いたウェディの二次創作小説をテーマにしています。ヒューザがレーン君を死なせたことに気づいたら、こう思うのでは?という感じの内容です。下の写真、右側で踊っているお兄さまにイラストを描いていただいてます。
♪Don't have to Worry♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=ZGqbBRKjufM
昔、加入していたチームのサブリーダーさんがモデルです。
ご本人が「元うつ病」と言ってたのですが、「辛いことはあるけど、生きていけるよ」といった感じのことをテーマにしています。
♪AM00:00~RAGE~♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=cJ-gZb45dko
オンラインゲーム上で「13歳の女の子と、34歳の男性が付き合っている」というテーマの曲です。