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ビギナーズラック

スムラ

[スムラ]

キャラID
: GF382-566
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 戦士
レベル
: 114

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スムラの冒険日誌

2016-11-01 12:45:02.0 テーマ:その他

【長い長い夜の間に・5】~再掲~

去年pixivに投稿した文章の再掲となります。
重複の方はゴメンナサイ。 「僕はもう、二度と生き返る事はない。あの日、君と剣の稽古をしていた時に僕は死んだんだ」

ヒューザが何か、鋭い声で叫ぶのが聞こえた。

「えっ?ちょっと、何?」

無言で強く抱き寄せられ、ほんの一瞬僕は身を強張らせる。

「お前さ、あの時俺が何を考えていたと思う?倒れて最後の息してるお前を見て、何を思っていたと思う?」

僕を抱いたまま、ヒューザは耳元で囁いた。顔は見えないけれど、泣いているのだろう。声が掠れている。

「さあ?」

呆然としながら答えると、

「お前が死んだら、人殺しになっちまうって。そしたら俺は、もう終わりなんだって」

と、絞り出すような声でヒューザは呟く。

「それは、誰だって同じなんじゃない?好き好んで悪者になる人なんていないよ」

僕の言葉に、ヒューザは強くかぶりを振る。

「違う!俺はどうしたらこの場を凌げるんだろうって、そればっかり考えていたんだ。居合わせたやつ全員殺して逃げれば、なかった事にできるんじゃないか?って。ほんの一瞬だけど、そんな考えが頭に浮かんだりもした」

サイテーだよな、と呟きながら、ヒューザの腕に力がこもったのが分かった。

「俺のこと恨んでいるよな?憎んでいるよな?よくも殺しやがってって、思っているよな?」

「・・・・・・思ってないよ」

僕はヒューザの背中を、小さな子どもにするようにポンポンと叩いた。

「思ってないから、大丈夫だよ」

「ホントかよ?」

「うん、本当だよ。だからそんな風に泣いたりしないで」

「泣いてなんかいねえよ!」

ヒューザが乱暴に涙を拭う。

「今でも焼き付いて離れないんだ、あの時のお前の顔が。血の気が引いてぼんやりした目で、『助けて』って何度も弱々しい声で呼んでいたのに。あんなに血がいっぱい出て、苦しそうにしていたのに。なのに、なのに俺は。目の前にいるお前のことより、自分のことばかり考えていて・・・・・・」

「気にしなくて良いよ。お互い真剣での手合わせに納得していたし、僕だって他の事に気をとられてしまったんだし」

「なんでお前が落ち着いているんだよ!お前はもう、うまい物を食うこともアーシクみたいに女といちゃつく事もできないんだぞ!」

「あの世に行く前に、最後にみんなに会いたかっただけなのにな。そんな風に言われると、僕も困っちゃうよ」

「ちきしょう。ちきしょう・・・・・・っ!」


ヒューザは僕の体を抱いたまま、声をあげて泣き続けた。


*☆*:;;;:*☆**☆*:;;;:*☆**☆*:;;;:*☆**☆*:;;;:*☆**☆*:;;;:*☆**☆*:


どれぐらいそうしていたか分からない。僕はヒューザが落ち着くまで、抱かれたままその場で大人しくしていた。

ようやく泣き止んだのだろう。たまにしゃっくりのような声が漏れるけれど少し落ち着いたのか、ヒューザはそっと体を離した。

ずっと泣いていたせいか、ひどい顔をしている。


「朝になったら、死体に戻っているのかよ?」


鼻を啜りながらヒューザが尋ねる。

なんて言い草をするんだろう!露骨な言い方に、僕は思わず笑ってしまった。


「死体には戻らないよ。【彼】と交代するけどね」

「そっか。じゃあ入れ替わる前に、他のやつらに会う前に行こうとして、さっき部屋から抜け出してきたのか?」

「そうだね。君やバルチャは気づいてしまうと思ったから」

「アーシクは気づかないかもしれないけどな」


ヒューザが少し笑う。


「そうだね。【彼】から少し聞いているけど、全く気付かなかったみたいだね」


僕は空を仰いだ。少し夜が白み始めている。


「そろそろ、行こうかな?」

「どこに行くんだよ。あの世にか?それとも、船に乗りにか?」


ヒューザは少し寂しそうな、諦めたような表情を浮かべて僕を見ている。


「レンドアへ。そこから明日の正午にレンダーシア行きの船が出るんだ。でも、朝になったら【彼】が出てきてしまうから、その前にね」

「もうちょっとぐらい、ゆっくりしていけよ。おやっさんがベッドまで出してくれたんだし、完全に夜が明ける前に起こしてやるからさ。少し眠ったらどうだ?」

「・・・・・・そうだね。死んでから、食べたり眠ったりした事がないから。たまにはそれも良いかもね」 ♪海に消えた祈り♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=X9NhGuDBcFw

♪男声バージョン♪
→https://www.youtube.com/watch?v=J6VGjGbm3KY

右側でリュートを弾いている、アイパッチのお兄様に絵を描いていただいています。 
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