写真、使い回しでゴメンナサイ。
去年pixivに投稿した文章の再掲となります。再掲のため、既に読んだことのある方はブラウザを閉じることをオススメします。
孤児院に戻ると、僕はすぐベッドに横になった。
ヒューザはと言うと、すぐ傍の椅子に座って僕の顔をじっと見ている。
「明日も調査の手伝いがあるんじゃない?寝なくて大丈夫?」
僕が小声で尋ねると、「大丈夫だ」と小声で返事が返って来た。
「なんか、信じられないな。朝になったら、またお前がいなくなっているなんてさ」
「そう?」
「ああ。ところでお前、あの世に行ったらそれっきりなのか?それとも、生まれ変わりなんてあるのか?」
「さあ……分からない、よ……」
眠くなってきた僕は、あくび混じりに答える。
このままコトンと眠ってしまいそうだ。ふわふわした、不思議な感覚。
ややあってから、急に思いついたようにヒューザが口にした。
「あのさ。もし生まれ変わりがあるんだったらお前、今度はアーシクの子どもにでもなったらどうだ?」
「えっ?僕がアーシクの?なんで?」
瞬間的に眠気が吹き飛んで、僕は跳ね起きる。
「んー、、、」
大きな声を出してしまったせいだろう。バルチャがうるさそうに唸る。慌てて僕は黙り込んだ。
「あいつは少し頼りないし、お前が別人と入れ替わっても気づかないようなやつだけどさ。でも、お前の事すごく大事に思っていたと思うんだ」
ヒューザは悪戯っぽく微笑む。
「そうだね。さっき・・・・・・昼間君に会った時なんか、『もしかしてヒューザに会うの怖かった?』なんてね。そんな風に気を使ってくれたよ。ちょっと違うんだけど」
「俺に会うのが怖かったのか?」
「違うよ。あんな風に泣かせたくなかったんだよ。怖いわけじゃない。ヒューザもアーシクも、2人とも僕の友達だよ」
「そっか」
僕がそう言うと、ヒューザは感慨深そうに頷いた。
「アーシクは子ども好きそうだし、たぶんまた大事にしてくれるよ。もしお前があいつの子どもになったら、俺もたまに帰って来るからさ。そしたらお前とたくさん遊んでやるよ。色んなとこにも連れてってやるよ。みんなともまた会えるしさ、悪くないだろ?・・・・・・剣の稽古だけは二度とごめんだけどな」
「うん、」
本格的な眠気が襲ってきている。僕は再び横になると、音もなく迫り来る何かに身を任せた。
視界が閉ざされ、世界から音が遠ざかっていく。
前に死んだ時の感覚と少し似ているけれど、全然違う。
あの時は足元から力が抜けていくような、何か底知れない恐怖心で一杯だった。だけど今は、何だかとても強い安心感がある。傍に誰かが居てくれるからだろうか?
「また、ね」
深く息をつくと、僕は目を閉じたまま最後の言葉を吐き出した。ほとんど声にならなかったけれど、ちゃんと聞こえていただろうか?
途切れて行く意識の中で、「おやすみ」というヒューザの声が微かに聞こえた。
♪海に消えた祈り♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=X9NhGuDBcFw
♪男声バージョン♪
→https://www.youtube.com/watch?v=J6VGjGbm3KY
右側で踊っている、アイパッチのお兄様に絵を描いていただいています。
少し前の日誌で、【フィーヤ孤児院での同窓会】を書いてます。
興味ある人は探してみてね。