数年後の事だった。
郵便局に届いた一通の手紙を頼りに、ヒューザは旧友の元を訪ねた。
「よぉ」
「ヒューザ、来てくれたんだね!」
アーシクが感激した笑みを浮かべている。
「やっと歩けるようになったんだってな?」
「うん、そうだよ。キール、ヒューザが来たよ!」
「あらあら」
キールはまだ幼い、1歳ぐらいの少女を連れて現れた。
「生まれた時にも手紙出したんだけど、その時は来れなかったみたいだね」
「ああ。ちょっと忙しくしててな。名前は?」
「アリアっていうのよ。アリア、この人パパのお友達」
キールのエプロンの陰に隠れていた少女はヒューザの顔を見ると、ぱっと満面の笑みを浮かべた。
「女の子か。いいなあ……なんだ?」
アリアと呼ばれた少女はたどたどしい足取りでヒューザに歩み寄ると、まるでそれが当たり前のように足にしがみついた。
「おっ?」
「あれっ珍しいな。結構人見知りする方なんだけど」
アーシクが驚いた表情を浮かべている。
「ははっ。まさか、な……」
ヒューザは1人で呟く。
「どうしたの?」
アーシクが不思議そうに見つめ返す。
「何でもねえよ。なんだ?一緒に散歩にでも行くか?」
ヒューザに頭を撫でられた少女は、黙って微笑んでいる。
「いいけど。キールと一緒に3人で行って、あまり遠くに行かないでね?あと、お昼に間に合うように帰って来てくれないと。勝手にどこか行くと大変だからモンスターに気をつけて、絶対に手を離さないで」
すっかり父親の顔になったアーシクが細かく注文をつける。
「はいはい。1日2回は散歩に行っているし、今ちょうど良い時間だからね。じゃあちょっと行きましょうか?」
キールは麦わら帽子を2人分用意し、出かける準備を始めている。
「よし。じゃあ、行こうか」
ヒューザはアリアの手を握ると、外に向かって歩き出した。
~Fin~
お付き合いいただいた皆様、ありがとうございます。
今回はいつも下の方で紹介している曲の「男声バージョン」が完成したので、アクセスアップの機会になれば・・・ということで、過去の作品を再度連載させていただきました。重複になった方はゴメンナサイ。
去年pixivに挙げた文章なのですが再掲にあたり、また細かい部分を修正したり。後半のセリフが長くなってしまいがちなので、どうにか会話を挟んで説明っぽくならないようにしたり(それでも長くなっちゃったー!)、と少しだけ変更を入れました。
”情報を分かりやすくまとめる”だけの記事と違い、小説ってば細かい細かい!!だって、
「この人物だったらこういう時どう思い、どんな表情を浮かべてどんな行動をとるか?」
そこまで考えないといけないし。だから大変だった・・・と思います。
他にも「子どもの頃のネタを書いて」というリクエストを何件かもらっているので、また何かできたら懲りずにココに載せるかも????
【全文はこちらから】
→http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5356698
※ラノベ世代の方が読みやすいように・・・と思い、キレイな挿絵をたくさん描いていただきました。pixivに登録していない方でも見れますので、良かったら覗いてみてください。
♪海に消えた祈り♪
⇒https://www.youtube.com/watch?v=X9NhGuDBcFw
♪男声バージョン♪
→https://www.youtube.com/watch?v=J6VGjGbm3KY
右側で踊っている、アイパッチのお兄様に絵を描いていただいています。