ウェディが出てくる二次創作です。同人、キャラ崩壊という言葉が嫌いな方は、閲覧をご遠慮ください。
※過去に載せた作品の再掲となります。
夕暮れの太陽を直視しても何も感じなかったはずなのに、眩しさに僕は目を細める。
これがラージャ神父様の言っていた、天の国の光なのだろうか?
ほんの一瞬そんな思いに駆られるが、直感がこれは別物だと告げていた。じゃあ、これは何なのだろう?
疑問に囚われていると、空の上から誰かの声が聞こえてきた。
「誰?」
心に染み入るようなどこか懐かしくて優しい、だけど厳しさも感じる声に僕は問いかける。
返事はすぐさま返って来た。が、告げられた内容に僕は畏敬の念さえ抱く。何故、そんな存在が、僕のようなちっぽけな者に声をかけるのだろう?
「・・・・・・えっ?」
告げられた申し出に、僕は間の抜けた声を上げた。
何と、僕と同じ名前の人間の青年のために、自分の身体を差し出せと言うのだ。同じ日に死んでしまったけれど彼にはまだやることがあるから、生きていくための器が必要なのだと。
冗談じゃない!
死んでしまったとは言え、あれは紛れもなく僕の身体だ。誰にも渡す気なんかない。それに誰かの魂が入ることで生き返るなら、自分が生き返りたいものだ。そもそも誰かに身体を明け渡すために、僕は死んだわけじゃない。
でも、最終的に僕の出した返事は、Yesだった。
自分のことで、みんなが泣いている姿なんかもう見たくなかった。
それにこのままだと、ヒューザが罪に問われてしまう。僕1人のために、親友に人殺しという十字架を背負わせたくはなかった。
「それで、みんなの心が救われるなら」
僕は答える。
それとほぼ同時に、一陣の風が横手を通り過ぎていくのをはっきりと感じた。
小舟に横たえられていた僕の身体が、意志を持って起き上がるのが遠目に見えた。その場の空気がざわつき、ヒューザが僕の姿をした何者かに向かって駆け寄って行く。
「ありがとう」
誰にも聞こえないと分かっているのに、僕は呟く。
ありがとう。
みんなの心を救ってくれて。
ヒューザに人殺しの罪を負わせないで済んで。
僕は君の器になるために、生まれてきたわけじゃない。
やりたいことだって、本当はまだまだたくさんあった。
それでもこれで村のみんなに笑顔が戻り、ヒューザが罪に問われないのなら。きっとこれで良かったんだと思う。
僕の身体を借りた彼を見守り、
「彼になら譲ってあげても良かった」
いつかそんな風に思える日が来たら、僕の魂も救われるのだろうか?
自分が何のために生まれてきたのか、分かるのだろうか?
海に消えた祈り
https://www.youtube.com/edit?o=U&video_id=X9NhGuDBcFw
男声バージョン
https://www.youtube.com/edit?o=U&video_id=J6VGjGbm3KY
【水の民ウェディ】歌詞をつけて歌ってみた
https://www.youtube.com/edit?o=U&video_id=PltN2y04WnY