※なりきりプレイの一環です。苦手な方はここで
お閉じください。
私は昨日彼女が指定した場所...レンドアの酒場に来ていた。彼女にとってここは何かしら思い入れの
ある場所なのか、それともただただお手頃だったと
いうだけなのか。まあきっと後者だろう。
待っていると、彼女がやって来た。
私は思わず息をのんだ。霊といえど、彼女はとてつもなく美しく、力強い印象だった。霊感のない人間には見えないというところ以外、生きている人間と
何ら変わりのないように見えた。私は目を擦った。
フィルターか何かがかかっていないかと思った
からだ。その様子を彼女は首を傾げながら見ていた。私は彼女に席を勧め、昨日得た情報を話した。
女性と話す時は無意識に力んでしまう私だが、不思議と彼女とは自然に話ができた。
私は彼女に、とりあえず連中をシバいてみよう、
と提案した。そいつらのことは覚えていたらしく、
彼女は静かに、しかし力強く頷いた。
私はエテーネ王国に赴き、件の阿呆共を探して
一人一人に死霊をけしかけた。
無論、相棒以外に死霊と主従関係を築いていない
私だから、お金を払ってレンタルオバケを利用した。ああ、財布が軽い...これが終わったらさらに兼業
して喫茶店でも開こうか...?
まあともかく、彼女の未練はこの復讐により消えた
はずである。私は彼女の最後を見届けるにあたり、
感動的な言葉をかけた。
1時間経った。一向に彼女はセオリーどおりスーっと
消えない。依然そこに力強く二本の足で立っている。この様子だと、どうやら連中に恨みを持っていたせいで成仏できていなかった訳ではないらしい。
私は悩むと同時に、何の意味も持たず消えていった
感動的な言葉を思いだし、身悶えした。
となると、何が彼女を現世に繋ぎ止めていたの
だろう?もういっぺん情報を集め直してそれらしき
ものをリストアップしてみようか。
何はともあれ、何かをするにはもう今日は遅い。
私は一旦ここで切り上げることにした。
...しかし、彼女をまた一人にするのは少しばかり
忍びない。そう思い私は彼女に家にこないか?と聞いた。彼女は一瞬すごく嫌そうな顔をしたが、
すぐに納得したような顔になり、ありがとうと
言った。
家に帰り、さっと夕食を済ませて私はベッドの上で目を閉じた。寝る前は考え事がはかどるものである。
なぜ彼女は一瞬嫌そうな顔をしたのだろう?
少し考えたら分かった。字面だけ見れば私は下心
丸出しのあの阿呆共となんら変わりがないでは
ないか!どうしようか、彼女は怯えていないだろうか?今私が弁解に行っても誤解がさらにこじれるような気がするので、行かない方が吉と出ると考えた。
...しかし、するとなぜ彼女はOKを出したのだろう?
私なら大丈夫だろうと思ったのだろうか?
それとも私に気があるとでもいうのか?
...いや、それはない。一瞬嫌そうな顔をしたでは
ないか。気があるならそんな顔はしない。
すぐに相手が自分に惚れていると感じるのが我々
冴えない男の悪いところだ。
私は自己嫌悪に悩まされながら眠りについた...。