※なりきりプレイの一環です。苦手な方はここで
お閉じ下さい。
さて、今日は予定通り息抜きに出かけるとしよう。
綺麗な景色を見に行くわけだから、画材も念のため
持っていっておこうか。
私はプクレット地方へと向かった。あそこは良さげなお花畑がたくさんあるし、打ってつけだろう。
着いた。ああ、やはり自然は限りなく雄大で、美しいものである。彼女もどうやら楽しい様子に見える。
この自然を背景に彼女の美貌を組み合わせたら、
一体どうなってしまうのだろうか。
私は彼女が依頼主だということを忘れ、絵のモデルを頼んだ。今思えばなかなか配慮に欠けた発言だったと思う。彼女も息抜きに来たのに、モデルという非常に自由の利かない役を押し付けたのだから。
小一時間ほど経っただろうか。おおよその下塗りが
終わった。ふむ、私の絵とは思えないレベルの出来
だ。さらに描き進めようかとも思ったが、彼女は
少々退屈そうだったので、切り上げることにした。
彼女が私の絵の出来を確認するためにキャンバスを
覗き込んできた。その時見せた彼女の嬉しいような
気恥ずかしいような表情が、私の頭から離れない。
まさか、ひょっとして、万にひとつ、私は彼女に
惚れてしまったのではないだろうか。惚れている
のは私の方だったのではないか。
いや、依頼主にそのような感情を抱くのはいけない。最終的に彼女は成仏させなければいけない。
色々悶々と考えていたら、彼女がどうせなら気球に
も乗らない?と言ってきた。私は深呼吸した。
無心である。無心。
...確かに彼女のいう通り、ここからちょっといけば
気球乗り場がある。よし、彼女の提案は無下に
できぬ、明日にでも向かうとしよう。
そういうわけで、プクレット村に寄り、私は宿屋に
泊まった。
私は眠りに落ちる前、考えた。そういえばエテーネ
王国での聞き込みの時、誰かが彼女はまともな恋愛
をしていない、と言っていたような気がする。
寄合処で女性陣に情熱を抱くものについて聞き込みをした時も、恋愛が出てきた。
これは...彼女の燻る情熱というのは、まさか恋だと
でも言うのだろうか。仮にそうだったとして、
これではまるきり禁断の恋である。やっと恋ができたと思ったら、その場で儚く消えるのだ。
...いや、そんな悲しい結末ではあるまい。
そう信じたい。