※なりきりプレイの一環です。苦手な方はここで
お閉じ下さい。
よし、ではさっそく大風車塔に向かおう。
気のせいかもしれないが、彼女は少しだけソワソワ
しているようだった。気のせいかもしれないが。
私は目を擦った。ちょっと待て、気球乗るだけで
こんなに金取るのか?道中マヌーサでも喰らった
かもしれない。私は頬をつねった。痛かった。
彼女の前に財布が成仏しそうだが、楽しそうな彼女を見るとまあ良かっただろうと思えた。
私たちは気球に乗り込んだ。気球の動力源的なもの
はずっと熱いんだろうと思っていたが、そうでも
なかった。
ついに地上から離れた。なんとも不思議な光景だ。
まるで天に近づいているようである。
それにしても、こう、二人きりというのは...。
意識してはならぬ、あくまで無心だ。
無心、無心、無心、無心...。
待て、やはり彼女もどこかソワソワしている。
よく見るとその頬はほのかに赤く染まっていた。
最高高度まできたところだろうか、彼女のソワソワがより一層増したかと思うと、ひしと抱きついてきた。「私が心から..信頼できた男の人はあなたが初めて」「あなたはこれまで出会った男の人とは違った」
「純粋な気持ちで私に優しくしてくれた」
「ありがとう...あなたが私の初恋の人で」
「本当に良かった...」
私は何も言えなかった。言おうにも上手く口が動か
ない。ああ、彼女が消えていくのが鮮明に伝わって
くる。何も今セオリー通りに消えていかなくたって
いいだろう。ああ、いよいよ彼女が見えにくくなってきた。そして今確信した。私も彼女に惚れていると
いうことを。
「私もあなたが初恋の人で...良かった!」
言いきると同時に、彼女は完全に消えていった。
これで...いいんだ。これで彼女は成仏できた。
そうだ、私は成し遂げたんだ。そう、何も心残りなどない。しかし...いや、よそう。終わったことだ。
私の初恋がどうのこうの書いたってどうしようも
ない。......。
未だに私の部屋には彼女の絵が置いてある。
一生完成しない彼女の絵が。