※なりきりの一環です。苦手な方はここでお閉じ
下さい。また、ver5のネタバレも含みます。
水か何かを買ってから帰途につくべきだった。
砂漠の恐ろしさをつい最近思い知ったばかりでは
ないか。ああ喉が渇いた。
あっちの方に人が見える。荷車やら馬車やら…。
もしかするとあれは交易所だろうか?
だとすると水だってあるかもしれない。少しだけ
分けて貰えないか交渉することにした。
交易所と言うだけあって実に色んな物があった。
日常雑貨に香辛料、あげく彫像まで。
砂漠で生鮮食品を見られるとは、なかなかに貴重な
体験だ。心に刻んでおくことにしよう。
ふっと、一冊の本に目が留まった。
「黄泉がえりの極意」表紙には胡散臭い書体でそう
書いてあり、その上黄昏呪術店というこれまた胡散臭いところから入荷しているものだった。いつもなら
そんなもの阿呆の買うものだ、と一蹴していたこと
だろう。
しかし。ここは魔界、ひょっとしたらアストルティアにはないような技術があるのではないか。
ひょっとしたら彼女を蘇らせることも可能なのでは
ないだろうか。
そんなことを考えていたら、もう既に私は支払いを
済ませてしまっていた。喉の乾きもいつの間にか
感じなくなっている。
これが世の理に反することだとしても、生に対する
大変な冒涜だとしても、私はそんなもの顧みない。
ああ、やってやるとも。一切の犠牲も厭わない。