さて、依頼を片付けるとしよう。さっそくカミハルムイに向かいたいところだが、アズラン付近に住んでいるとはいえ如何せん距離がある。支度をせねば。
昼になってしまった。良くない。実に良くない。
先延ばし癖が出てしまっている…。
巻き返すためにもとっとと家を出て駅へ向かおう。
あ。待て、この時間方舟が出ていただろうか。グランゼドーラなら五分程度しか間隔が空かないかもしれないが、こっちは一本逃すとピンチな時があるのだ。
待ち時間覚悟で行くとするか…。
ちなみに私はルーラで酔う。びっくりするくらい。
駅に着いた。残念なことに、予想通りまだ次まで時間がある。ううむ、どう時間を潰そうか。こうなると分かっていればサイトウも連れてくるべきだった。
しりとりでもして暇を潰したのに。
出来ない事を悔いても仕方ない、他に何か無いだろうかと周りを見渡す。すると駅弁屋が目に入った。
なるほど、丁度お昼時だからぴったりではないかと思った。が、おサイフをどこかに落としていたようだった。嘘だろ。
ひとりしりとりをしていたら、やっと方舟が来た。
私は駆け込まない程度にひんやりとした車内に乗り込み、座り心地の良い椅子に座り込んだ。空いているため席四つ分を占領できる。日常で味わうリッチな気分というのは、何とも良い気分である。
窓からの景色も、いわゆるイタ映えしそうな澄んだ空と広大な自然が広がっている。写真機を持ってこなかったのが悔やまれる。カミハルムイに着くまで、この景色を楽しむとしよう。
さあ着いた。早く依頼に取り掛かるべきだが、宿を確保するのが先決である。しかし宿に入る直前に思い出した、おサイフを落としていたのだ。
私は生い茂る木々や草花と夜をともにした。