何だかんだでもう三日も経ってしまったが、ようやく館の探索を始められそうだ。目測ではあるが広さはざっとゾウ15匹分くらいだろう。この程度の広さなら
一日あればお目当ての剣を探し当てることが出来るはずだ。さっさと取ってさっさと帰るとしよう。
今更だがゾウに例えたのはとても分かりにくいな…。
重く、軋んだ音を鳴らすドアを開けると、中は案の定埃まみれで、老朽化が進みボロボロになっていた。慎重に歩かないと床を踏み抜きかねない。もし踏み抜いてしまったならば、わらわらとここの原住民たちが私の足に群がって来ることであろう。想像するだけで鳥肌が立つ。殺虫剤でも持ってくるべきだった。
館内を歩きながら、ふと白ローブは何故剣を持ち帰ってこいという依頼をしたのかが気になった。体格からして相当細身のものしか扱えないだろうし、なによりわざわざこんな所の剣を指定してくる必要がない。
仮に実戦に用いるとしても、別に強い武器はたくさん売られているわけだし…。ううむ。
彼女らが宗教団体であれば―もっとも、私が寝る前に思いついた妄想に過ぎないが―その剣が信仰対象もしくは神器的なものなのかもしれない。しかしだとしても私に取ってこさせる必要があるだろうか。ううむ。
そうこうと考え事をしていたら、盛大に床を踏み抜いてしまった。そして、原住民たちのあたたかい歓迎とスキンシップのお陰で、私はとてもシームレスに気絶出来たのであった。