※創作日誌です。無印の続きです。苦手な人はお戻り下さいね。
入ってきた扉はすぐに見つかった。そして地下は思っていたより広くなかった。あの箱の仕業か、はたまた暗闇による錯覚だったか…まあそんなことはどうでもいいか。
私は彼女を入口まで押し上げる。
「本当に助かりました!ありがとうございます!
そうだ、お名前、お名前はなんていうんですか?」「名前ですか、私は―」
ん?ちょっと待て何だこの音は?後ろからドタドタと…。
振り向くと目の前にはいたずらモグラがいた。
思い切りシャベルを振りかぶってこっちに跳んできている。
なんでこっちの勘は当たるんだ!!!
その私の魂の叫びから後の記憶は、無い。
気が付くとベッドの上だった。立ち上がろうとすると頭が痛い。よっぽどやつは殴っていったのだろう。
モグラへの怒りを燃やしながら枕元に目をやると、
メモ書きが置いてあった。
どうやらお礼の言葉と報酬金らしい。箱を叩き壊しただけの仕事でこんなに貰うのは何だか気が引けるので、半分の額だけ頂くことにしよう。
そばに畳んであったブレザーを着、ネクタイを締め直し、カバンをかけ、髪も分ける。メモ書きを片手に、暗闇で出会った彼女にお礼を言いにいこう、そう思ったのだが、どうやら出かけているようだった。
…仕方ない。私もお礼のメモを残し、その場を立ち去る。
メモに残された筆跡は、どこかで見たような、柔らかいものだった。