※創作日誌です。回れ右は今の内ですよ。
あれから食う、修行、寝る、食う、修行、寝る…大して代わり映えもしない毎日を送って3年の歳月が経った。
3年間、ずっとそんな生活を送っていたおかげで、俺はいつの間にか師匠に次ぐ剣術の使い手になっていた。
今日もまた、いつもと変わらない1日になる、そう思っていた。
が、そんな俺の考えは、師匠の、文字通り蹴破ってしまうんじゃないかと思うくらい、勢いよくドアを蹴破る音で消し飛ばされる。
「ちょっと師匠何事ですか!!ドアがイカれたらどうするんです!」
師匠は俺の怒鳴り声なんて意にも介さず、ひょうひょうとしている。
「はは!まあそう言うな、それよりこれだ」
手…正確には手と言って良いか判断に困る…には何かの紙が握られていた。それをひらひらさせながら師匠は続ける。
「お前、いつだったかザードに越したいっていってたよな?単刀直入に言おう、こいつはザードからのスカウトだ」
唐突な知らせに俺は口が開けない。結構言いたいことがあるはずだったのだが、驚きが表情筋と言語野を支配してしまっていた。よろいに表情筋があるかは知らないけど。
「よっぽど驚きのようだなぁ、まあこんな小さな町じゃ、自分がめちゃんこ強いってのを自覚する機会がないもんな」
「にしたって、そんなスカウトなんて…」
「嫌か?」
まだ動揺が残っている俺に、ハッキリ言う。
決断を後押しするための、気遣いだろう。師匠はこういう時、いつも白黒つけやすい聞き方をしてくる。
「…行きます」
こうして俺は、ザードで、兵士として暮らすことになった。