※創作日誌です。そこんとこよろしくお願いしますね。
俺と師匠は、これといって多くない荷物と一緒に馬車へ乗り込む。勢いこんで椅子…といっても周りより若干高いだけの台だが…に座ると、ミシ、と短く音を立てた。ザードまでそこそこあるのに、大丈夫か?
これ…?新天地へと抱いた期待と不安に、追加で馬車の心配もしなきゃいけなさそうだ。
ふと師匠の方を見やると、俺のそんな思いとは裏腹に、余裕、というか特に何も考えていなさそうだった。そのブレないスタンスに、かえって安心する。
さあ、どうなることやら。
湿気った木の匂いに包まれ…いや、まとわりつかれながら馬車に揺られていると、なんとも言えない気分になってくる。向こうでの生活は、町での、こう、なんというか、満足のいく不足?がそう味わえなくなるだろう。デカい国とあらば、きっと不自由のないレベルの生活水準はあるはず。それはそれでいいのだけれど、物寂しいのも確かだ。それで言ったら、このボロ馬車は、最後の満足のいく不自由になるのかもしれない。…ああ、こういうのはらしくないな、やめよう。
などと感傷に浸っていたら、御者のうわ、という情けない声が聞こえてきた。瞬間、視界が百八十度回転する。屋根に転がる。頭を打つ。
何事だ!なんて言うまでもなく、横転したことが分かる。感傷に浸っていたのがバカバカしくなってきた。ボロ馬車は所詮ボロ馬車だ!!くそ!!!
外に出てみると、ひどい有り様だった。馬は逃げるし、御者は伸びてるし、タイヤは一つを残し木っ端微塵。本当になんなんだまったくもう!!勘弁してくれ!!!
「いやー、こりゃヒドイな、ははは!」
笑ってる場合か!ここからは徒歩になりそうだ…。
長くなるぞ………。はあ…。