※創作日誌です。アレルギーの方はお引き取り下さい。
砂、砂、砂、砂…
歩いても歩いても砂だ。あとデカい虫…。
あれからもう数日は経っただろう、なんて思っていたが、実際はまだ二時間も経っていなかった。
なんでったってこんな砂漠の真ん中で馬車が大破するのか。信じられない。信じたくない。
師匠はふわふわと飛んでいて、足元の悪さを気にする必要はなさそうだった。
「ああくそ、師匠は楽そうですね、飛べて!」
「お前、飛ぶのも、割と、体力使うんだぞ…」
余裕そうに見えていたが、結構応えているらしい。
絶え絶えだ。
「こりゃ遭難かもなぁ…」
言われてしまった。考えないようにしてたのに!
ああ、ここで終わりか…華の兵士生活を過ごすことなく…。
ん?
地平線に、砂煙が上がっているのが見える。
砂煙はだんだんこちらに向かって…。
目の前で消えた。
消えた砂煙の中から何かが見えてくる…。
「そこのお二人、大丈夫ですか?」
車輪の付いた、しかし馬や動力にあたるものが見当たらない乗り物から声が聞こえてきた。
ガション、と耳慣れない音をたてながら開いたそれから出てきたのは、理知的な目つきのベホマスライムと、これまた賢そうな物腰の猫まどうだった。
「えっと…どうしてこんな砂漠の真ん中に?」
俺達は、二人にこれまでの経緯と馬車が大破したことを話す。
「ザードに向かうところだった…奇遇ですね、私達も誘われてるんですよ」
まさかの同士だった。
「どうせなら乗せていきましょうねぇ、ここから徒歩じゃあ厳しいでしょうからねぇ」
耳触りの良い優しい声で、先ほどの猫まどうが乗り物へと促す。
渡りに船、これは乗るしか無いと師匠と頷き、乗り込む。中は見た目よりもずっと広かった。乗り心地もバツグン。馬車もはじめからこうだったら良かったのに!