精神神経科病連
担当医 ソマ
ソマ「体調は どうですか?」
シウス「生きてて良い事あるんですか?
よく この歳まで絶望しないで
生きてたと思いますよ」
ソマ「・・・」
シウス「で?今度は俺を どんな障害にしたい?
うつ病?双極性障害?統合失調症?」
シウス「担当医が変わる度に
障害名がコロコロ変わるよね?」
ソマ「早く完治して社会生活に戻れれば」
シウス「・・・」
シウス「”社会生活をしたことがない”んだが?
今さら完治したって
どうすればいいんだよ!?
シウス「・・・もうさ
楽しい事できる時間は終わっただろ!
今さら治っても
後は老いて死ぬだけだろう!?
ソマ「・・・」
ソマ「私は貴方の障害を治すのが仕事です
早く そうなって私の仕事を減らしてください」
部屋を出る
シウス「・・・あれだけ感情のまま叫んでも
その反応」
シウス「いや
”なぜ医者になんか”期待する」
あの・・大丈夫ですか?
シウス「誰だ?」
「通りかかって
苦しんでるような声が聞こえたので」
シウス「・・・」
シウス「・・・君に何がわかる?
子供の頃から障害者で
何もなかった俺の何がわかる?」
「・・・
わかると言ったら
おかしいですか?
シウス「誰が わかるって言うんだ!
わかるわけねえだろ!」
怒りのまま その人を振り払う
その人のバッグが床に投げ出され
中身が散乱した
シウス「・・・」
シウス「それって」
落ちた物を 拾い集める
その人
「これは
私が死なないために必要な物です」
それを見て
驚くどころか・・・
シウス「(同じ人が居たんだ)」
「フフ 驚かないんですね
”普通の人が見れば”
ドン引きするほどの薬の量ですよ?」
シウス「・・・」
シウス「(・・・今さら)」
シウス「俺は”普通の人ではない”からな」
シウス「そのくらいの薬の量ふつうだろ?」
「私が言うのもなんですが
これを普通に思ったらズレてますよ?」
シウス「あぁ ズレている
俺には それが普通なんだ」
「なら
私と同じですね
シウス「君も・・俺と同じ?」
「私も子供の頃から障害者で
何もなかったですから」
「学校も部活も社会生活も・・・
学ぶことも働く事も許されなかった
何もなかったですから」
シウス「(・・・この人は)」
「私たち気が合いそうですね」
わかる人間に会ったことは無い
そんな相手が居る経験もない
シウス「・・・何がわかる」
そう言い立ち去って
自分の病室に戻る
翌朝
いつもの人気のないフロアのイスに座る
なんのつもりか その人がやってきて
「おはようございます
今日もお互い死に損ないましたね」と
告げる
シウス「あいさつとして
それは どうなんだ?」
「眠りについて”運が良ければ”
死んでるかもしれませんよね?」
「私も 貴方も
死ぬことができない障害の苦しみを
抱えているのかと思って
死ねたら 死んだことないですが
苦しまなくて済みそうなので」
シウス「・・・
・・・なんで・・わかるんだよ
「出会った時に
”わかる”と言いましたよ?」
君も俺と同じなのか?
聞きたくなってやめた
シウス「君の名前は?」
「リリア」
リリア「そう呼んでください シウスさん」