失望しました もう関わらないでください
ヴィダ「・・・
こっちが先に ひどい目に合わされたんだが?
ヴィダ「・・・人間ってめんどくせぇ」
ヴィダ「いや 私が悪いのか
何十年も人と関わらなさすぎて
普通の人の考え方と
普通の人の心の感じ方を
養うことができなかった
ヴィダ「・・・
今さら
”人に復帰”できるのだろうか?
手話サークルに通う最中
女の人と ぶつかった
倒れてる相手を ただ見つめる
「・・・」
「普通 手を差し伸べて
起こしてくれてもいいんじゃない?」
ヴィダ「・・・
普通ってなんでしょうか?
「はぁ?」
ヴィダ「すみません
”普通を知らない”んです」
手を差し伸べ引っ張って起こした
そのまま部屋に入る
「あの人も手話サークルの?」
気を悪くしないであげて
「え?」
その理由を話すから
部屋に入る
その理由を告げる者は手話で語る
ヴィダは
精神 神経 気分障害を
3つの障害を患っている
「
「・・・え?」
このサークルに参加したのも
社会に復帰・・・いや
”人として復帰”したい
それが動機らしい
「・・・」
あいつは義務教育すら
受けられなかった
精神神経気分障害がひどくて
学校にすら行けていないし
社会生活もできていない
「(・・・そんな人が本当に)」
”普通を知らないんだ”
そのため苦悩してるし
人とトラブルになることも多い
あいつなりに なんとかしようと
足掻いてる
悪く思わないであげて?
「・・・あの?」
使う目的が違うけど
手話って便利だよね
言いにくい事を
手話にしてしまえば
わからない人は わからないし
「・・・あの?」
ここに居るサークルの人
・・・みんな手話わかりますよ?
ガシェ「・・・あ」
「みなさん?
今の見て(聞いて)ましたか?」
手話で返すまでもない
ただ みんな うなずく
「そうだよね・・・」
ガシェ「・・・すまん ヴィダ」
他の部屋
手話で
貴方は なぜ手話を始めたのですか?と
聞かれる
ヴィダ「・・・
正直に答えると
”人としての復帰”なのだが
ヴィダ「手で歌いたかったからです
表現もしてみたい」
ヴィダが質問する番
ヴィダ「(何を聞けばいいんだ)」
あまりにも人と関わらなさ過ぎて
こういうことすら苦難する
困った末
聞かれた事を返してみた
相手は首をかしげ
不思議そうな顔で手話で答える
「耳が聞こえないから」と
ヴィダ「(・・・ろう者(聞こえない人)
なんてこと聞いてしまったんだ)」
ヴィダ「(・・・私はやっぱり
人としての心が壊れてるんだ)」
ヴィダ「(人としての復帰どころか
”人になれた経験がない”」
ヴィダ「(・・・)」
ヴィダ「・・・
・・・人と関わるべきではなかったんだ
やめよう この教室
自宅のチャイムの音がする
人と会いたくない
障害がひどすぎて
玄関を開けて人と会うことすら
ひどい拒否反応が出る
ごめんなさい
出ることもできません
チャイムの音が何回も押されひどくなる
この鳴らし方 母さんか
出ないわけにはいかないか
玄関を開けた
ヴィダ「・・・なんで?」
「障害者手帳 落としたでしょ?
ガシェさんに貴方の家を聞いて
届けてあげようかなって」
ヴィダ「・・・」
・・・障害者だと知られたくなかった
それだけで自分への態度が変わるだろう
「さて
貴方の家に入らせてもらうか?」
ヴィダ「・・・
・・・え?