大きな賭けをしていた
負けた方は勝った方の言う事をなんでも聞く
僕は勝っても冗談で済ませるつもりだったが
ただ相手は
どうしても叶えたい望みがあるらしい
彼女は笑みを浮かべ手札を僕から引き
勝利宣言した
勝負は圧倒的だった
最初から僕の負けが決まってたような
力量差があり
彼女からすれば
僕の罰ゲームは確定事項だった
もはやお互い賭けではなかった
すでにやらされることの準備をしていた
一か月も前から練られた計画
僕にそれをやらせるために
賭けに持ち込み勝利し計画を実行する
「私の下心の準備のために」
その意味を理解した
ひどく荒れた私の髪の毛を
念入りにコーミングしてたのも
今なら肯けた
彼女が用意した者を見つめる
黒いベレー帽
丈が半分ほどしかない
白い・・Tシャツなのか?
もう少しで下尻が見えそうな
黒いショートパンツ
黒いロングブーツ
履けば太ももは曝け出してしまう
金のブレスレット
それらが二人分
・・・なんで二人分??
まるで十代後半の女の子に似合いそうな
「着てみようか?」
信じられないような言葉が聞こえたが
空耳ではなかった
そう・・この女の子なら十分
考えつきそうなことだった
核心を聞き出すのに恐怖を感じたが
半ば諦めのような感情もあった
「・・・女装しろと?」
その問いに
うれしそうに「そのとおり」と答えた
それを身に着けた僕を見て
「女の子にしか見えない!」
僕の顔を覗く
「女の子のような顔立ちしてるよね
髪の毛も綺麗になって腰まで伸びてるし
女装するしかないじゃない?」
・・・言葉を失った
彼女も そのファッションを身に着けた
あれ・・違和感がない
違和感どころか
とても よく似合う
十代後半の女の子が着そうな
ファッションなのに
ふとした疑問を思いつき
口にしようとしたら
「貴方は女の子に何を聞こうとしているのか
わかっているのかな?」
・・・年齢を聞こうとしてたことを
わかっていたかのように悟り
先回りされて注意された
「もう満足しただろ?」
そう言い服を脱ごうとすると彼女は言う
「なに言ってるの?」
悪魔的な笑みを浮かべ
うれしそうに彼女は言った
このまま街に出歩くから