睡眠薬を手に入れるのは簡単だった
精神障害者で不眠の彼が処方されている薬を
拝借させてもらいました
彼の意識を奪いたいなら
盛ればいい
遠のく意識から
次に目を覚ましたのは
ここは 個室だろうか?
大きなベッドが1つに
この部屋の作り見覚えがないが
よく見るような
・・・え?
・・・裸?・・なぜ裸?
シーツが1枚 身体にかかっているだけ?
なぜ こんなことに?
慌てて起き上がる
かかってたシーツが落ち
裸が露わになる
やはり
ドラマやアニメで見るような
ここは ラ〇〇だ!
・・・どういう・・こと?
辺りを見回してみた
シーツを1枚かぶっているだけの
裸のミレイが仰向けで寝ている
回想
ミレイ「そこで休憩できるところが
あるんだけど
そういうこと♪」
回想 終了
「・・・」
・・・奪われたのか?
・・・僕は・・奪われたのか
彼にとっては重要なことだった
初めてが無意識なのは無念すぎる
まあ まだ体験したのかも不明なのだが
はっきりしてほしい
体験したなら体験したで明確な答えがほしい
わからないままだと もどかしすぎる
・・・でも・・この状況
そういうことなのか!?
「う~ん」と言葉を漏らし
目を覚まし起き上がるミレイ
「貴方も起きたの?」
「・・・ぼ・・僕は」
「どうしたの?」
「この状況どういうこと?」
「貴方が全裸で仁王立ちしてること?」
慌ててシーツをかぶった!
「ヘルパーでお世話してる時に
もう見慣れてるんだから
隠さなくても」
「そういう問題ではない!」
なんで
この状況になったのか聞いた
「雷雨になって
雨宿りできる場所が
ここしかなかったから
近くに雷が落ちて気絶した貴方を
運ぶの大変だったなぁ」
・・・そういうことだったのか
「じゃあ なんで裸?」
「夏だし暑いじゃん?」
「僕まで裸なのは?」
「聞いちゃう?」
本能が これ以上
踏み込まない方がいいと告げた
雷の音が響く
「眠れる?」
「この状況で目が覚めた」
「眠れない夜って
どうしてる?」
「深夜アニメを見たくなるかな」
「私は こんな夜
考えちゃうんだ
なんで私は
愛されないんだろうって
ミレイと出逢った時
自分と同じ物を感じた
普通ではない何かが欠けたような
普通の人には存在して当然のような物を
多分だけどミレイも
自分と同じ
存在して当たり前の物が
どっちにも無い
どっちも欠けている
「どうして そう思うの?」
話の続きを促した
「気が付いたら孤児院に居たの
親の顔も知らない
家族も存在してるのかも わからない」
たまに悲しそうに何かを
失ってしまった欠けた自分のピースを
求めるように
思い悩んでいたのは
それだったのか
直感的に話を聞いた方が
彼女には良いと判断した
続きを促した
ミレイは自分の過去について
語り始めた
今日から私が貴女の親だって言われて
差し伸べてくれた両手に身を任せた
私のような子供は たくさん居た
ここは身寄りのない子供を引き取って
面倒を見てくれる孤児院
何か月も ここで暮らす内に
里親を名乗っては引き取られていく
子供たちを何度も見て来た
最後の一人を見送って数年
私は まだ孤児院に居た
私は気づいたの
誰も
私を見てくれる人が
居なかったことに