泉高校
深くため息をつくシス
「どうしたの?」
「昨日したセッションが忘れられなくて」
「誰と?」
「知らない人と即席でセッション
彼 急にアカペラで歌い出すのよ
ついギターで奏でて
メロディー重ねたくなっちゃって」
「・・・そんなドラマみたいなことある?」
「良かったな その人とのセッション
また あまい歌声してるのよ彼」
「そんなことよりさ
文化祭で歌う曲 決めようよ?
もう時間ないよ?」
「3曲 全部オリジナル曲って
ハードル高すぎない?」
「そこはシスの才能を頼りにしてるから」
「だから 私は歌詞を書けないんだってば」
クラスの男子と ぶつかる
「あ ごめん テイル」
何も言わずに立ち去る男子
「なんかテイルって
もっと身なり良くすればいいのに」
「そういうのに興味ないんじゃない?」
「なんていうか不潔と言うか」
「まあ あの彼とは真逆かも」
「ねえ
その人と会えないの?
良い歌詞 歌ってたんでしょ?」
「連絡先 知らないし」
帰宅 夜
母に食材の買い出しを頼まれたシス
遠目に その彼を見つける
「あのときの」
気づいたら彼を追っていた
息を切らして必死に
「・・・あれ 見失った?
・・・居た あそこだ」
河原
アカペラで歌い出す男性
ヒザ抱え独り涙流していた
何もできない憶病な私
孤独を紛らすために
歌を唄って自分をごまかしていた
「強くなりたい」
そう思っては塞ぎこんでいた
独りでは生きていけない
そんな私も それでもいいよね?
ありがとう
私をくれた愛しい貴方
この想い届いてますか?
これからの私を見ていてください
前に進むから
幾千の想い貴方へ届けと願う
愛しい貴方へと
歌い終わる男性
一人の観客から拍手を浴びせられる
「あの時 曲を重ねてきた」
「聞いた事のない曲
貴方のオリジナル?」
「そうだけど」
「ねえ
私たちに歌詞を作ってくれない?」
「いきなりだな」
「だって好きなんだもん
貴方の歌詞
この前 セッションしたときの
歌詞も好きだなぁ
その代わり
私が曲を提供しようか?
こんな曲は どう?」
曲を口ずさむシス
「切ないバラード」
「もっと
事細かに表現できない?」
「そういうのに長けていない
でも 気に入ったよ曲」
「じゃあ 書いてくれる?」
「文化祭前には
間に合わせればいいのか?」
「ぜひ 頼むよ
あ 連絡先 教えてよ」
交換した
「歌詞ができたら送るよ」
「うん ありがとうね」
そこで二人は別れた
「清潔感があって紳士的で
歌もうまくて歌詞も書ける
好感の持てる人」
文化祭前には
間に合わせればいいのか?
「・・・あれ」