・・・どこにも
・・・行かないよね?
深夜 宿の庭
「どこにも・・・か」
「ねえ どうなの?」
「俺は300年の人生の中で
何もなかった
生きる意味も価値も
フェルク騎士団の機密を盗み出して
その追っ手に殺されそうになって
そこを救ってくれたのがセクトだ」
「・・・」
「セクトに救ってもらって
ゲジジェとセネアと出逢って
気づいた
私たちの家族になってくれないか?
クルーゼ!
貴方が居なくなったら
私は どうすればいいのよ!?
いいんだよ
俺達と居る理由なんて
簡単でいいんだ
「皆と家族になって気づいた
俺は溢れるほどの温かい物を
皆から もらっていたんだってことに」
「そう」
「ゲジジェが言っていた」
回想
「俺は作者に仕えてるわけではない
でも俺はセクトとセネア
クルーゼ
お前たちが好きだからな
だから作者に仕えているセクトと
皆と一緒に居たいから
作者に仕えてるだけだ」
回想 終了
「俺は作者の事を好きになれそうにない
でも 皆と一緒に居られるなら
作者側に ついてもいい」
「・・・クルーゼ」
「俺は どこにも行かない
だからセネア
これからも よろしくな?」
クルーゼに抱き着くセネア
「ありがとうクルーゼ」
グレンハム王国
「クルーゼはラグガイアを
使いこなせてしまったか」
「俺と戦うことで
目覚めさせてしまった
カプスにいいようにやられた」
「まあいい 些細な事だ
これから始まる全滅戦争以上の
戦いの始まりの前ではな」
「レイチェヴュアル」
「・・・」
「レイリア?
なぜ 黙っていた?」
「伝える必要がないと
判断したまでだ」
「信用されてないのなら
言ってもらおう?」
「レイチェヴュアル
この言葉を
知れ渡らせたくないからだ
カシェに見つかってしまう」
「カシェとは?」
「その存在が
作者がノートで
レイチェヴュアルを
隠す理由だ」
ヴェイア城 とある場所
「・・・生きていたのか
なぜ・・すぐに来てくれなかった?
俺は君を待っていたのにリリア」
「いえ 私はリーアです」
「・・・」
「一人称が”俺”に戻ってますね
本当に愛おしい相手だから
自分に戻れるので?」
「・・・」
「そんなに似て居るのなら
私を愛せばいいのに
衣服を脱ぎ一糸まとわぬ
姿になったセクト・リーア
「シウスの自由にしても
いいのですよ?」
「・・・」
「そうですね
リリアは
上品で おしとやかで
それはネコ被っていて
本当のリリアは純粋で子供っぽくて
そのギャップがおかしくて
つい シウスは笑顔が零れてしまう
シウスにとって
リリアは そんな相手でしたね」
「リリア?」
「私はリーアですよ?」
「・・・」
「リーアという名前も
本当はリリアと名付けたかった
私を完璧にリリアを重ねてしまうのは
彼女に罪悪を感じたからですか?」
「・・・」
「私も純粋で子供っぽく
見せてあげましょうか?
そうすれば完璧にリリアに」
「やめてくれ!」
「そうですね
私は純粋で子供っぽくなれません
上品で おしとやかにはなれますが
シウスを笑わせるような
ギャップもない」
衣服をまとったリーア
「もう居ないのだから
私を愛せばいいのに」
そう言って
退室していった
セクトプリオンの隊員が
セクトに告げる
「カプスたちが帰ってきた?
早いな」
ヴェイア城 BAR
「ずいぶんと早かったな?」
「すでにクルーゼは
ラグガイアを使いこなせている
だが
厄介な物に憑りつかれた」
「それは?」
「それを
なんとかするのが
俺の役目だ」
「その後は作者にシウスに
仕えてくれるのだな?」
「俺は存在していられる範疇だけ
生きて居る
作者に仕えることはない」
「どういうことだ?」
「そろそろ
お暇させていただく