ガシェに言われたことが気になって
精神障害の症状で倒せれるのを覚悟で
役所にヘルパーの事を聞きに行った
ミレイが言っていたように
僕のような精神障害者は
無料でヘルパーを雇うことができたが
「毎日 朝から晩まで
介護しません」
それが役所の人の返答
ミレイがやってることは?
帰宅するヴィダ
家ではミレイが昼ご飯を
支度していた
「一人で出かけて
大丈夫だった?」
「・・・」
ミレイは なぜ
そこまでしてくれる?
何が狙いで僕の傍で
こんなに面倒を見てくれる?
だけどミレイが
してくれたこと
優しく温かく思いやりがある
行動で接してくれた
疑ってもいいのか?
でも
・・・つらかったね
・・・悲しかったね
ダメだよ?
繋がって居る人間が
自分勝手に生きちゃ?
私と共に生きてみる??
こんなに僕を想ってくれる人を
疑うなんて
「ヘルパーは
そこまで面倒を見てくれない」
思わず声にでた
それを聞き黙るミレイ
「なぜ
そこまでしてくれる?」
「・・・」
「何か狙いがあるのか?」
「・・・
な~んだ
バレちゃったか
「狙いならある
私にとって
とても重要な」
語りだすミレイ
「私がヘルパーだと言うのは本当
貴方と契約して
与えられた仕事内容
週2回 二時間ほど
ヘルパーとしての
仕事をする事」
「ミレイのやってることは」
「過剰」
「なぜ?」
「・・・
・・・私にも
・・・わからないの
「え?」
「私が普通ではない事
前に話したよね?
私は愛を知らない
感じた事もない
普通の人が知っている感情を
私は知らない
だから私は普通ではない」
うつむき悲しそうな表情で
言葉を連ねる
そして
意を決したように言った
「貴方と居ると
私が生きてきて
これまでに
感じた事のない
感情に縛られるの
「私は
この感情を知らない
今まで感じた事がない
この感情
ねえ 教えて?
これは なんなの?」
黙ってミレイを見つめるヴィダ
「私は
これを知りたい」
思い出すように語る
「最初に貴方に出逢った時
貴方は
”普通が わからない”と言った
その言葉 私も共感なんだ
私も普通を知らない
だから貴方が精神障害者と知った時
ヘルパーである私の立場を利用して
契約を持ち込んだ
最初は
ただの興味でしかなかった
でも貴方と過ごす内に
貴方は
私と同じなのかも
想いを受け入れるの?
拒絶するの?
・・・私たち
・・・どっちも欠けているね
「なんて表したらいいの?
この感情は?」
「・・・」
「・・・私は
・・・これを知りたいの」
貴方に
お願いがあるの
泣きながら上目遣いで
すがるような表情で言う
「せめて少なくとも
この感情が何か
わかるまででいいから
・・・貴方の
・・・傍に居てもいいですか?
そんなミレイを
愛しく優しく抱きしめて
ヴィダは言った
「・・・
居てもいいよ
こんなにも愛しくなるなんて
どうかしているんだ僕は
世界は壊れて居る
僕には何もない
普通を知らない
興味もない
ウソをついた
強がりなんだ
本当は誰よりも
普通に憧れている
何もない僕に
君が与えてくれた物
色付いた普通の世界
僕が欲しかった憧れ
世界は色付いた
欠けている僕に
何かを埋めてくれた
普通を教えてくれた
知らなかった世界
僕は普通を知った
君のせいで
普通になれるなんて
思ってもみなかったから
どうして そこまで
僕に与えてくれる?
僕は君に
何かを与えられたか?
君の想いで いっぱいになる
こんな感情を知らなかったから
普通じゃない想いに支配される
僕は知った これが愛だと
全部 伝えるんだ
「僕には何もない
普通を知らない
永遠に届かない物だと思って居た
でも君が普通を教えてくれた
僕は君に何かを与えられたか?」
そう問う僕に君は言った
「愛を教えてくれた」と
どっちも欠けている二人
欠けて居るのならば埋め合えばいい
何もない僕に
何かをくれたのは君だ
何もない僕が何かを知った
人を愛すること
君を愛しいと想う事
普通だけじゃなく愛もくれた
君も僕に愛をくれた
欠けている僕に
普通と愛を教えてくれた
こんなにも愛しくなるなんて
どうかしてるんだ僕は
君を愛したくなる