チェルの精神障害が再発した
倒れたチェルを抱き抱えて
家に到着した
ヴュアの家 寝室
ベッドで横たわり涙を浮かべて
苦しそうな表情をしている
ヴュア「大丈夫かチェル・・・?」
チェル「・・・」
チェル「・・・・・
・・・すべてが
・・・うまくいくと
・・・思ってたの
ヴュア「・・・チェル」
チェル「もう精神障害なんて
寛解したと思ってた
私の人生
ここから始まると思ってた
でも
・・・精神障害者は
・・・精神障害者だね
ヴュア「・・・」
チェル「・・・夢なんて
・・・見るんじゃなかった」
チェル「ねえ ヴュア?
教えて?
この世界は
精神障害者には
優しくないの?」
その言葉の言いたいことが
わかった
僕も精神障害者だ
その言葉の意味は
痛いほど わかる
チェル「精神障害者の病院のあと
薬局に薬をもらいに行くでしょ?
その途中に信号があるんだ
そこをね
信号が青の内に
渡り切れないの
僕も そんな時が多々あった
だから
何が言いたいか
何を伝えようとしているのかが
理解できる
・・・この世界は
チェル「信号が赤になって
私は まだ
半分も渡れてないんだ
車にクラクションを鳴らされて
まるで早く渡れ?
何してんだ?と
怒られてるみたい
・・・できないのにね
ヴュア「わかってるよチェル」
チェル「・・・
・・・この世界は
・・・精神障害者に
・・・優しくないの?
ヴュア「・・・」
ヴュア「僕も保健所に相談したんだ
病院まで薬を取りに行ける
身体じゃなくて
歩いて行けないから
その悩みの解決策を
聞きたくて聞いた
タクシーを
使えばいいじゃない?
タクシーを
拾いに行く場所まで
歩けない身体なんです
家までタクシーを
呼べばいいじゃない?
それでお金を使っていたら
障害基礎年金 暮らしでは
明日
食べる物にも困ります
・・・だったら
貴方が家を出て独りで暮らして
生活保護を受けることを
オススメしますよ?
それを聞いたチェルは
信じられない事を聞いたような
そんな表情をしていた
チェル「・・・そんな
・・・ひどいこと言われたの?」
ヴュア「・・・
わかるわけないんだよ
健常者に
僕たちの精神障害者の
悲しみを
精神障害者になったことが
ないんだからさ
チェル「・・・」
ヴュア「わかるわけないんだよ」
ヴュア「でも
生きなきゃいけないだろ?
死んだら
どこに行くか
わからないんだからさ
ヴュア「そんなの怖いだろ?
だから生きなきゃいけないんだよ
この世界が
クソッタレな世界でも
チェル「・・・」
ヴュア「・・・それでも
・・・生きなきゃ
・・・いけないんだよ