母さん?
お昼ご飯 まだ?
母の部屋
「・・・」
「・・・寝てるか
寝てる人を起こしたくないし
自分でご飯を作れるなら
・・・こんな身体じゃ
しかたない
水で我慢するか
コールの部屋
「・・・
「ねえ
おしえてよ?
世界は広いですか?
「・・・」
「僕の知ってる世界は
六畳一間の僕の部屋と
アストルティアだけだ
メギストリス サーバー01
・・・
「ウィル?
ここに居るってことは」
精神障害がおかしい
もう ここで賑わう人たちを
眺めるくらいしか楽しみがない
「・・・」
「・・・同じだね」
コールも
今日は”ハズレの日”か?
「そうだよ
完全なる寝たきりだ
1時間したら
強制ログアウト
するかも
もう
コントローラーで
スティックで
少し動かす気力もない」
なんで
1時間したら
落とされるんだろうな
精神障害がひどいときは
ここで孤独を感じずに
居たいだけなのに
「なんでだろうね」
・・・
「・・・」
こんな
身体じゃなければ
なんでもできた
好きな服を着る事も
モデルになることも
デザイナーになって
この
”見つけられるスキル”で
斬新な
ファッションを
デザインして
「こんな
身体じゃなければ
なんでもできた
物語を創ることも
歌詞や曲 歌を創ることも
バンドをして唄う事も」
なんで
アストルティアの
世界しか
生きる事ができない?
なんで
ドラクエⅩを始めた
コール?
「君も
わかってるんだろ?」
・・・そうだな
箱の世界の外に
出たかっただけだ
家から出たら倒れる
「病院に行くのも
1日分の体力を使い
近くの遊び場に行くのも
旅行したかのように
体力を使い
街に
遊びに行けば
必ず倒れる」
アストルティアなら
倒れても問題ない
「家の中だからね」
俺たちにとって
「僕たちにとって
都合の良い
外の世界が
アストルティア
だっただけだ