◇◇◇Ver.8のネタバレを含みます◇◇◇
カルサドラ山脈ふもとに位置するキャンプに、ガン、ガンと力任せの警鐘が鳴り響く。
カラマドの剣隊長の失踪に端を発した一連の騒動の果て、カルサドラ溶岩窟の守りは手薄となった。
その隙をついてか、はたまた、魔物たちも溶岩窟奥地に復活した邪神を恐れてか、くろがねの巨人の群れが溶岩窟からキャンプへ侵攻したのだ。
絶体絶命の窮地、しかし魔物の群れの前に、悠然と蒼髪の闘士が立ち塞がった。
迫る魔物に動じることなく、鋼鉄の拳に打ち壊された道具屋のテントから転がり出たドルセリンの管を拾い上げると、ベルトに突き刺し高らかに叫ぶ。
「魔装、展ッ開!!正義を貫く、情熱の炎!!!アカックブレイブ、フルクロス!」
いつか何処かの世界線。
敵の放つ毒素に対抗するため、アカックブレイブことココソーの魔装には、猛る焔の如きヘルメットが追加されている。
……まぁ、そもそもしっかりヘルメットは存在したのだが、敵に対して顔を隠すのは云々、早々に打ち捨てて久しかった。
常々、ヘルメットの有用性を博士から耳タコメットに説教を受けていたのは勿論、ヘルメットを新造してくれた博士にも正座の上で長時間、重々に反省を促されたので、やがて世界を渡ろうとも、ココソーは引き続き魔装を完全な状態で展開することとしていた。
さて10はくだらぬくろがねの巨人を前にアカックブレイブはただ1人、しかしヘルメットの下でココソーは不適に微笑み、突進する。
自らを遥かに上回る身の丈、そこから振りかぶられた頭よりも大きな拳に怯まず、同じく正拳で応酬する。どう見ても無謀な光景に、キャンプの住人たちは皆、続く惨劇を想起し顔を覆う。
「……ブレイブ1号直伝の拳だ。とくと味わえ」
しかし轟音ののち、醜く捻じ曲がった右腕を抱えて大きくよろめいたのは、くろがねの巨人のほうであった。
アカックブレイブは畳み掛けるように拳を爆裂に振るい、鋼鉄の上半身がたまらず弾け飛ぶ。
「次っ!」
プラズマブレードを引き抜いて数体を斬り伏せ、背後に迫っていた1体の首を後ろ回し蹴りで刈る。
高い高い跳躍から砲弾のような飛び蹴りで3体まとめて胴を貫き、最後の1体は……
「これで、終わりだっ!!」
ココソーはぐいっとヘルメットを脱ぎ去り、放り投げたそれが地に落ちるよりも早く、鮮やかなヘッドバットでくろがねの巨人を粉砕した。
風呂場覗きの常習犯に対し数え切れぬほど見舞った、自慢の一撃である。
しかしながら、この場に博士が居なくて、本当に良かった。
頭突きをするなら尚のこと、何故ヘルメットを脱ぐのか。
きっと怒りと心配が綯い交ぜに溢れて、泡を吹き倒れてしまっていることだろう。
兎にも角にも、運良くこの地、この時に迷い出たココソーによって、キャンプの平和は守られたのであった。
続く