「良いコンビだったね」
「ふふ、私たちに負けず劣らずの2人だったのだわ」少年の正体に気付かぬテルルとマユラではないが、善悪とは簡単に割り切れぬもの、ましてや、出自や種族をもって決めるものではない。
太陰の一族の一件を通し、2人はそれをよく知っているのだ。
「さ!」
何はともあれ、である。
「何だかすっかり寄り道しちゃったけど!」
「ええ!夏はこれからなのだわ!!」
もとより、ビーチへの小旅行の目的は、テルルの誕生日祝いなのである。
「それにしてもこの水着、マユラから渡された時はどうかと思ったのだけど……名産品でもあるわけだし、気付いたらすっかり馴染んでたわ」
胸元はバンドゥ、下はボーイレッグ、そのどちらも鮮烈な赤の地にごく小さな黒い楕円が遮二無二散りばめられ、その上から羽織ったラッシュガードは濃い緑に稲光のような荒ぶる黒いラインが縦に何本も走る。
そう、今のテルルとマユラの出で立ちは、何処からどう見ても立派な西瓜である。
バカンスなのだから、水着だって多少の冒険は必須、そして何よりも、この水着を着ることで名産品の紹介に一役買ったとして、スイカ料理が食べ放題になるのだ。
濃厚なスイカ果汁溢れるハンバーガーに、しっかりグリルされた野菜とスイカの見目も鮮やかなカレーライス、喉が渇いたら、レモンティーのジュレを合わせたスイカのフローズンに、形も色もとりどりなゼリーの浮いた炭酸キツめのポンチソーダで潤して。
もちろん別腹対策も万全、カラメリゼしたスイカにバニラアイスを添えたアラモードに、ミルキーグレイズで化粧したスイカスティックがスタンバイ。
さぁ、腹拵えも充分。
どこまでも続く蒼天のもと、この夏最大のバカンスが、大口開けて待っている。
~HappyBirthday~