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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 121

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2018-02-08 00:28:37.0 2018-02-08 00:33:53.0テーマ:その他

ゆうはん。65 「冗談が通じないことよりも、無反応ってのが一番キツイぜ、ったく」 「…………」 「なんか言ってくれよおおお」 しかし! 少年はジッとこちらを見ている!


 第4章 その30


 夕陽が横顔を照らしている。
 眠たげな目をした不思議な少年だ。
 もともと存在感が極端に薄いのか、このまま夜が来れば闇に溶けて消えてしまいそうだった。
 そんな少年だが、今は彼の方からジッと詩人を見つめてくる。
 詩人は思わず、
「よせやい。そんなに熱い眼差しを向けられたンなら思わず襲っちまうかもしんねーぞ」
「…………」
「キッスしたろか?」
「…………」
 しかし!
 しょうねんは ジッと こちらをみている!
「……くそ、やりづれぇな、ツッコミも無しか」
 詩人は戸惑っていた。ここに来て初めてのタイプじゃなかろうか。
 確かに、この少年、よくよく見れば、思春期特有の幼さ残る雰囲気を身に纏い、その中性的な顔立ちと華奢な身体つき、加えて夕暮れどきのノスタルジックなシチュエーション、ならば例えあっち系のヒトでなくとも、何かに目覚めてしまいそうな詩人さんだった。
「ちょいちょいちょーい! 俺になにを期待しているッ?」
 いざ、新しい世界へ!
「…………」
 しょうねんは ジッと こちらをみている!
「は、ハグしちゃおうかな……?」
 どきどき。
「…………」
 夕陽に照らされ、心なしか薄っすら紅色ほっぺ。
「じゃ、じゃぁ、手ぇ、とか、繋いでみる……?」
 ――きさまは乙女かッ! 手ぬるいわッ! いくならもっと、こう、ガバーっといけよ、ガバーっと! この意気地なしめッ!
「うおおおおーい! 俺、今、何にツッコまれてンのーッ?」
 しかし!
 そのほうこうには だれもいない!
「…………」
 そして
 しょうねんは ジッと こちらをみている!

 間。

「まぁ、アレだ。取り乱してすまない」
「…………」
 いかん。こんなことをするためにふたりきりになったのではない。……ん? ふたりきり――ッ!
「それはもういいッ!」
 さらに熱の上がりそうな詩人さんである。それだけではない。声を上げる度に背から腰にかけて激痛が走った。悪化しているようだった。本来ならば、絶対安静でなくてはならないはずだ。
「なら、これ以上ツッコませるンじゃねぇよ」
 うん、そうだね、今回のボケパートはもう十分なので、そろそろ真面目パートにいこうか、うんうん。
「…………」
 少年、いまだ微動だにせず。
 詩人は語りかけた。
「ま、まぁご覧のとおり、俺は手負いなワケさ。情けねぇよな」
「…………」
「俺はさ、ガキの頃から、なんにも取り柄なんてなかったのさ。勉強が大ッ嫌いでさ、運動だって逆上がりすら、遂に出来やしなかった」
「…………」
 聞いているのか、いないのか、少年は何も言わない。眠たげな目をして、って、本当に寝ているのではないだろうか。時々不安になる。が、ジーっと何かを訴えているかのようにその奥の眼は詩人を捉えている。
 詩人は続けた。
「俺がガキの頃にさ、町で学芸大会があったんだ。小さなステージだけどもさ、俺ぁ初めて、そこで歌をうたったんだ。すげー勇気が必要だったよ。でも、すんげー嬉しかったんだよなぁ。俺にも出来ること、あるんだってな」
「…………」
 それでも詩人は独白を止めない。
「でな、終わったあとに、いつまでも歓声が続くんで、調子乗って笑顔で、は~いって手を振ったら、ばーか、お前じゃねーよ! だってさ。どうやらな、次の演者に向けた歓声だったのさ。笑っちゃうよな、恥ず~ぅ、俺ぁ、もう、恥ずかしーったらありゃしない!」
「…………」
「俺はきっと、自分がくたばる寸前まで、そんなガキの頃の恥でも思い出すンだろうね。……もう少しまともな思い出とか、あっただろうにさ」
「…………」
「お前さん、イイコトでも、イヤナコトでも、何か思い出はあるかい?」
「…………」
 ぶんぶん。
 少年は首を横に振った。
「そうかい。なら、しっかり生きて、たくさん思い出作るんだな。空っぽのまんまじゃ、つまんねーぜ?」
「…………」
 少年はジッとこちらをみつめたままだ。
「というワケで俺は寝る。こーんな傷だらけのままじゃ、せっかくの思い出作りも出来ゃしないからな~。なんか絶対安静らしいし」
 詩人は布団にもぐり込んだ。
「…………」
 少年は向いのベッドに腰かけたままだ。
「俺はしばらく動けない。その間に、奴らがまた、乗り込んでくるかもしれない」
「…………」
「そしたらどうする? また奴らの言いなりになるのか? それともここに残るのか?」
「…………」
 頭から毛布をかぶり、声だけを出す詩人。
「ただ、お前さんは強い。そのチカラをどう使おうが、お前さんの勝手だ。……それだけだ」
「…………」
 ゆっくりと一度だけ影が大きく動いた。
 やがて陽が沈み、辺りは夜に包まれた。


 つづく。
※この物語はフィクションです。
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