物価変動ばかり注目されますが、それは極端でなければ大したことではありません。
ドラクエ経済の最大の問題は、経済発展が無いことと経済格差から生まれています。
開発・運営だより第13号で語られた「経済学」を真に受ける人も少なくないようですが、あれは完全に出鱈目です。
日課討伐でゴールドはどんどん生み出され続けていました。
V2以降、シナリオクリア報酬、スタンプカードの報酬、試練の門等、システムが生み出すゴールドは増やされる一方です。
それに対して、ドルセリンの消費量は減る一方ですし、ドルセリンの価格も500G固定です。
勇者姫の石、釣り老子の石、スキルマスターの石、強戦士の書、飛竜等の全くゴールドを消費しない移動手段が次々に増えてます。
馬車も6分以上かかる場所への移動ならば、バシっ娘もよほど近距離への移動でなければドルボードよりも安価です。
Ver.が進むたびに「システムが生むお金」は増える一方で「システムが消すお金」は減る一方です。
それで「一ヶ月も経たないうちに『汗と涙の結晶』は数万ゴールドという価格に急騰」なんて現象は起きていますせん。
何故かと言えば「システムが生むお金」と「システムが消すお金」のバランスは物価に影響する要因の極一部に過ぎないからです。
実際には、他の要因の方が物価に対する影響が大きいのです。
だから、「システムが生むお金」と「システムが消すお金」のバランスが取れてなくても「『経済の崩壊』状態」なんて現象は起きないのです。
「プレイヤーの方が今感じている『とにかくすごくお金がかかる!』という感覚」の原因分析も間違いです。
定量的な比較をせずに「稼げるゴールドの量はプレイヤー間で均等になった」と言うのもマヤカシです。
今も昔も、効率的な金策法を身につけた人とそうでない人の間に歴然とした格差が存在しています。
この格差こそが「『とにかくすごくお金がかかる!』という感覚」の原因の一つです。
現実世界では経済格差の拡大は忌むべきものではありません。
というのも、一般的に、格差を容認すれば経済発展しやすいからです。
経済発展すれば収入の平均値も上がり、貧乏は解消されやすくなります。
それでもどうしようもなく貧乏な人がいれば、社会保障で対応すれば事足ります。
一方で、ドラクエ世界のように経済発展を伴わずに格差が広がれば貧乏な人はより貧乏になります。
誰かの取り分が増えれば、当然、別の人の取り分が減ります。
RMT利用者の存在はとくに顕著にその傾向を示します。
専門知識のある人は「ドラクエ世界ではプラスサム経済はない」と言えば分かりやすいでしょうか。
では、何故、ドラクエ世界では経済発展が無いのでしょうか。
それは、実質付加価値が一定以上に増えないようなシステム上の調整が入るからです。
昔のとあるPCゲームでは、膨大なエネルギーと引き換えにあらゆる敵を一瞬で倒せるアイテムが手に入りました。
こんなあらゆる敵を一瞬で倒せるという実質付加価値を持ったアイテムはドラクエにはありませんよね?
攻撃力1千万の斧などの強力な攻撃力を実質付加価値として持つ武器もないですよね?
現実世界では、技術等の裏づけさえあれば、いくらでも実質付加価値は増やせます。
しかし、ドラクエのアイテムや装備類は、最も強いプレイヤーがラスボスと戦って苦戦する程度に、その実質付加価値が制限されています。
ドラクエⅩにはバザー相場とシステム相場の2種類の相場があります。
両者の相場が一致していれば「『とにかくすごくお金がかかる!』という感覚」は生じません。
後で説明する理由により、バザー相場にはシステム相場より高くなるような圧力が働きます。
この状態でシステム相場をバザー相場に合わせようとすれば、両相場が際限なく高騰するハイパーインフレになります。
逆に、バザー相場をシステム相場に合わせようとすると、バザーに並ぶ商品がなくなります。
普通に敵と戦って得られるゴールドしか得られないのでは、馬鹿馬鹿しくて誰も金策などしなくなるからです。
それよりも効率的に多額のゴールドを得られるから、職人は頑張って高級装備を作っているのです。
高度なコツが必要で、それでも成功率には限度がある、そんな職人システムで作っている以上、システム相場よりも遥かに高額になるのは当然のことです。
戦闘に関わるアイテム(装備)を高難易度でプレイヤーに作らせる以上、経済格差はなくならないし、貧乏人が経済格差の煽りを受ける状況は改善できません。