「弱い」で簡単にクリアできると装備が売れなくなって、ドラクエ世界の経済が悪化すると言う人がいます。
つまり、素材も含めた相場が下がるので、金策している人の収入も減るから、皆が困ると言うのです。
これは本当でしょうか?
確かに、高級装備を売っている一部の職人さんにとっては大打撃かもしれません。
しかし、それ以外の殆どの人にとっての実質収入は増えるのではないでしょうか。
安い装備でボスが倒せることは、これまで高い装備にしかなかった実質付加価値(ボスを倒せること)が安い装備にも付加されることです。
ボスを倒すために改めて装備を買い直さなくて良くなるのであれば、装備購入に掛かる費用は0になります。
それなら、どんなに収入が減ろうとも、収入に占める装備購入費は0%になります。
結果、額面上の名目収入が減っても実質収入が増えるので、多くの人が実質的に裕福になるのではないでしょうか。
戦闘以外での実質付加価値で考えても、経済の悪化は考えられません。
物価が下がることにより、額面上での名目GDPは減るかもしれません。
しかし、実質付加価値ベースで見た実質GDPに変化があるとは思えません。
難易度が選択できても戦闘以外のアイテム類の実質付加価値は変わらないはずです。
収入が減っても、それに連動して物価も下がれば、手に入れることができる実質付加価値の総量は変わりません。
物価下落以上に収入が下落すれば、経済が悪化することになりますが、そうなると考える根拠はあるでしょうか。
生産と消費が一体であることは経済学の常識です。
現実世界での景気を悪化させる投資停滞や失業はドラクエ世界では発生しません(そもそもドラクエ世界には投資がない)。
それなのに、何故、物価下落以上に収入が下落するのでしょうか。
以上を踏まえると、難易度選択による物価変動は否定できません。
しかし、経済が悪化するという主張は経済学の常識に反しているとしか思えません。
むしろ、戦闘関連商品においては経済向上が期待できます。
【補足】
個々の商品が持つ実質付加価値は主観的かつ定性的なものなので数値化は容易ではありません。
現実の経済効果を計る時は幾つかの仮定において大雑把な相対値で計ります。
・同一時期に販売される商品の実質付加価値は商品価格に比例する(時期が違う場合は比較できない)
・全く同一の商品の実質付加価値は時代とともに変化しない
ドラクエ世界では運営が実質付加価値を操作できることやプレイヤー間の主観差が生じにくい(ラスボスを倒すことは共通目的)等により、現実とは違う想定が必要です。
例えば、ラスボスを倒せることの実質付加価値を1と定義すると、戦闘関連商品で個人が得る実質付加価値の最大値は1となります。
(話を簡単にするため、ラスボス以外のボス戦は考慮に入れません。)
よって、戦闘関連商品における一人当たりの実質GDPは1を越えません。
言い換えると、この場合の経済効果とは一人当たりの実質GDPがどれだけ1に近づくかであると言えます。
誰でもラスボスを倒せるなら一人当たりの実質GDPはほぼ1になります。
ラスボスを倒すのに一部の人しか買えない高級装備が必須になれば、一人当たりの実質GDPは1よりかなり小さくなります。